ハーメルン
遠山キンジに転生したので、女の子とイチャイチャする
第十話

 街灯や建物の窓から漏れ出る光が町をやんわりと照らす中。
 俺とアリアは模擬戦をする為、再び武偵校に向かう。今はバス停を目指している。

 ちなみにアリアが持ってきたトランクは、いったん俺の家に置いて来た。白雪に見られたら厄介だから持ってきてほしかったのだが、アリアに断られた。重そうなトランクを引きずって学校に行けと言うのも忍びなかったので、俺もつい了承してしまった。
 ま、なるようになるだろう。どうせ修羅場は避けられん。

「あんた――キンジって普段何やってるのよ」

 アリアが質問を投げかけてくる。少しでも俺についての情報を仕入れようとしているのだろう。これはいい。アリアに俺がパートナーとして相応しい奴だとアピールできるチャンスだ。
 ただでさえロリ好きの変態かと疑われており、印象は悪いはずだ。何とかせねば。
 ……でも、なんでアリアちょっと疲れているんだ? 
 さっきはびっくりしてて気付かなかったけど、服とか髪とか若干乱れているし。
 もしかしてそれが俺の家に来るのが遅れた要因だったりして。

「学校が終わったらずっと訓練してる。休日も訓練だ。実践経験を積むために、定期的に高難度の依頼(クエスト)を受けたり、遠征に行ったりもしている」

 ――後は、ヒロイン達にイチャイチャアタックを仕掛けてるけど。

「……ふーん、なるほどね。努力を怠らないことはいいことね」

 アリアは素直に感心したようにそう言ってくる。
 ……アリアから純粋に褒められるってなんか、むず痒いな。
 アリアは基本的に思ったことをそのまま言うから、その言葉も本心なのだと思うと変な感じがする。原作キンジは、アリアに好き放題言われてたから余計にそう思うだけかもしれんけど。
 その後もアリアは俺にいくつかの質問をしてきて、それに俺が答えていく。



 武偵校行きのバスに乗り込む俺とアリア。
 時間帯もあってか、がらんとしたバスの中、一番後ろの座席に二人して座る。ここでアリアからの質問の雨が止む。
 ちょうどいいやと、今度はこっちからアリアに質問を投げかける。

「アリアは、普段どんな訓練をしているんだ?」

 アリアはSランク武偵。Sランク武偵になれる人材は稀だ。才能の有無もあるのだろうが、そこに上り詰める為に並み以上の努力をしてきたはずだ。
 特にアリアは家庭の事情もあったり、最近だと母親を救う為に惜しみない努力をしているはずだ。そして、その詳細は原作で語られていない部分でもある。
 だが、その努力の中には俺が強くなる為に参考にできるものがあるかもしれない。やはり強くなるためには、貪欲になんでも吸収していくことが大切だからな。

「私の? どうしてそんなことを聞くのよ?」

 アリアは俺からの質問が意外だったのか、そのカメリア色の瞳を丸くしている。
 
「アリアはSランク武偵だろ? どんなことをして強くなったのか興味があるんだよ。俺も参考にできるかもしれない」

 素直にそう答えると、アリアは「……へー」と、探るように俺の顔を見つめながらそう答えると。

「そういうことなら仕方ないわね! それに私のことを知ってもらうのも悪くないわ。そうね、最近だと――」

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