ハーメルン
遠山キンジに転生したので、女の子とイチャイチャする
第二話
益々速まる鼓動を感じつつ、早足気味に廊下を進んでいき玄関ドアの前にたどり着く。
’毎日’この時間に来る人物は一人しかいない。
俺はインターホンを押した人物が誰なのかを確認することせずに鍵のツマミを回す。ドアノブを捻り、ゆっくりと扉を開いていく。扉の隙間から陽光が差し込んでくる。
――突然だが、女性の見た目の好みはと聞かれれば、俺は迷わずこう答える。
スタイルの良い女性だと。
脚は細く長い方が好きだし、貧乳より巨乳。世の中にはロリが好きなんて言っている奴がそれなりの数いるが、俺はそいつらとは一生分かり合えないだろう。
まあ、何が言いたいのかと言うと――、
「――キンちゃん様! おはようございます!」
――『星伽白雪』は、最高に可愛いという事。
俺の姿を見た瞬間に、花が咲いたような笑顔を浮かべてくる。
ぱっつんの前髪も、腰まで届く髪も、手入れの行き届いた艶がかった黒色である。武偵高の制服でもあるセーラー服から伸びる細長い手足は雪のように白い。出るところは出たスタイル抜群の美少女。現代に生きる大和撫子であり、リアル巫女さんでもある。
そして、遠山キンジを慕う『緋弾のアリア』のヒロインの一人である。
「おはよう、白雪」
白雪のあまりの可愛さに軽く緊張しつつ、白雪を部屋に招き入れる。
俺が快く部屋に招いてくれたという、ただそれだけのことに一々感動した様子を見せる白雪は、「お邪魔します」と、相変わらずの深いお辞儀をした後に、おずおずと部屋にあがってくる。
そんな奥ゆかしいところも……いい!
「……いつもありがとうな。今日もそんな豪華そうなご飯を作って来てくれて」
俺は何とか平静さを保ちつつ、白雪がその手に持った布に包まれた重箱に視線を送る。白雪は毎日、用事が無い限りこうしてわざわざ朝食を作ってそれを持ってきてくれるのだ。
原作キンジはこんな健気な白雪を雑に扱っていたのだ……まじ許せん。
「そ、そんな……。私は当たり前のことをしているだけだから……。だって将来はキンちゃん様の――、ふふ」
白雪は頬を朱色に染めながら、幸せそうに、うっとりした様子で俺のことを見つめてくる。トロンとしたその表情は陶酔しているようである。なんというか、非常に艶めかしい。俺の緊張がさらに加速する。
白雪はそのまま、弁当箱を広げていき、食事の用意を進めてくる。
俺は、ぼうっとその様子を見つめる。
……なんか、会うたびに白雪が可愛くなっていっている気がする。
こんな子が俺のことを慕ってくれてるとか……。
…………よし、『今日』こそは。
――絶対に白雪とイチャイチャしてみせる。
その後、白雪の作ってくれた素晴らしい和食を美味しく食べながら、俺は決意をより固める。心にメラメラと決意を示す炎が燃え上がっていく。
…………大丈夫、何せ今日は原作の開始なんだ。
きっと何もかが変わるに違いない。
ちらっと前を向くと、白雪は幸せの絶頂ですと言わんばかりに満面の笑顔を浮かべて俺が食べる様子を見つめている。そんな白雪に思わずどきっとしてしまい、顔を背けてしまう。ドクンと、俺の血流が勢いを増す。
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