ハーメルン
遠山キンジに転生したので、女の子とイチャイチャする
第六話
自分抜きで話が進んでいく事が不満だったらしいアリアはずかずかと近づいて来ると俺と白雪の間に割り込んできた。
そしてなぜかアリアは、ギンッと俺の方を睨みつけてくる。
――え、なんで?
アリアのなぜかご立腹な態度に戸惑う俺が反応する前に白雪が反応する。
「…………ねえ、見て分からないかな? 今は私とキンちゃん様が話しているんだけど?」
俺との時間を邪魔されたのが気に食わなかったのか、その声色には聞くものが震えあがるような冷たさと棘が含まれている。こっわ。
……やばいな。白雪とアリアって原作では仲悪かったけど、ここではどうなんだ?
「うるさいっ! 私はこの男に用があるの! 関係無い人は引っ込んでて!」
「…………は? キンちゃん様のことなら私は関係あるけど? キンちゃん様に関わる全てのことは、まずは私を通してもらえないかな?」
いや、それはおかしい。
……と、心の中で突っ込んでおく。
全ての感情が抜け落ちたような表情で、瞳孔を開いてアリアを睨みつけるその姿を見たら何も言えんわ。
しかし、そんな白雪にアリアは一歩も引かない。まじで尊敬する。
「はあっ? じゃあどっちでもいいわよ! この男が! どさくさに紛れて! 私の『胸』を触って来たのよ!!」
「「…………は?」」
あまりに予想外のアリアの言葉に俺と白雪はぽかんとしてしまう。
……胸を触った?
俺が? アリアの?
…………全く身に覚えが無い。
ていうか胸無いじゃん。
「いやいや、それは何かの誤解だ。俺はアリアの胸を触ってないぞ。何か勘違いしているんじゃないか?」
「うるさいっ! この変態! あんた、私を抱えながらどさくさに紛れて私の胸を触ってきたじゃない!!」
抱えた時? それって体育倉庫に飛ばされた時か?
え? あの時、アリアの胸触ってたの? ……全然分からんかった。
あー、それで顔真っ赤にして焦ってたのか。合点がいった。
……え、それで俺結局変態のレッテルを貼られるの? ここは原作通りなのかよ。ロリに変態扱いされるなんて不名誉はごめん被りたかったのに。
くそ、こんなことならアリアだけ跳び箱に激突させるんだった。
「いやいや、あの時は俺がアリアを抱えなかったら怪我してたぞ? ……胸を触ったなら謝る」
とはいえ、ここでアリアと関係性を悪くするのは得策では無い。まあ、本当に胸を触ったらなら男として謝るのが礼儀だろうしな。納得いかんけど。
と、俺が何とか穏便に事を済ませようとしているのに、
「――――ぷっ」
白雪が唐突に噴き出した。
嫌な予感がしつつ、ゆっくりと白雪の方に視線を向ける。
そこには、心底アリアを馬鹿にしたようにくすくすと笑う白雪が。
……うーわ、凄い悪い顔してるよ。
白雪の表情は嗜虐性を孕んでおり、本当に魔女そのものだなという感想を抱いてしまう。まじで裏表激しいな。そこが可愛いけど。
「あなた、Sランク武偵の神崎さんよね? キンちゃん様が神崎さんの胸を触るなんて不可能だよ」
「はあっ!? どういうことよ!」
……おい、白雪。何を言うつもりだ。
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