ハーメルン
シンビオートに寄生されたけど、意外とへいきだった
発端


「はぁ〜。やっぱり変わんねぇな……しっかし、いつ見ても豪邸だな」

『すごいな、俺たちのアパート何個分だ?』

と呟きながらインターホンを押す。
すると、中から

『はい』

と言う声が聞こえた。だが、俺の声を聞いた瞬間に

『今開けるから!』

と言い、ドアが開いた。
そして、出てきたのは紛れもなく、幼馴染みのナナセだった。相変わらず可愛いくて、綺麗だ。でも、いつもと違って、髪は下ろしており、可愛らしい服を着ていた。電話で会話はしていたが、久しぶりに顔を合わせるのでお互い照れてしまった。
とりあえず、家の中に案内され、リビングでコーヒーを飲みながら話を始めた。

「久しぶりだね。元気にしてた?」

「まあまあかな?ナナセこそ、どうなんだ?」

と聞き返すと、

「私も普通だよ。大学はちゃんと行ってるよ。あと、歌のレッスンとかもしてる。でも、最近忙しくなってきたからあんまり行けてないかも……」

と言った。

「そうか。悪いな、忙しい時に呼び出したりなんかして」

疲れたようにそう言った彼女に申し訳なくなり、素直に謝ると、

「大丈夫。私もワタルの顔見たかったし…2日前くらいに急に日本に帰るって連絡来た時はびっくりしたけどね」

とナナセは笑いながら言った。

「そうだ。これ、土産だ。みんなで食べてくれ」

と、お菓子が入った紙袋を渡すと、ナナセはありがとう!と言って受け取り、テーブルの上に置いた。
それから、ナナセはソファーに座っている俺の隣に座り、

「ところで、今日は何の用事で私の家に来てくれたの?」

と聞いてきた。俺は、

「ああ、実は聞きたいことがあってさ。この会社について調べてるんだけど、知ってるか?」

と言い、スマホの写真を見せた。
写真にはバックラーという会社のロゴが写っていた。
すると、

「もちろん。バックラーでしょ?最近有名だもんね。主に日本でだけど、最近は世界にも進出してきたみたいだし。でもどうしてそんな事を?」

とナナセは聞いてきた。

「実は、俺の親父の事件に関わってるかもしれないんだ」

親しい人にはシンビオートの件は伏せているが、親父が研究所の爆破で亡くなった事は伝えている。なので、事件の関係者がバックラーにいるらしい。というざっくりとした事情を説明した。

「そうなの!?大変だったね…それで、この会社は怪しいと思うの?」

と聞かれたので、

「ああ、そこの研究部が怪しいと思ってる。まだ確証はないけど、一応調査しようかなと。ただ、日本の企業だから、こっちでは情報がなかなか得られなくて困ってたんだよ」

「分かった!私も調べてみるね!そうだ、パパにも聞いてみるね、何か知ってるかも知れないし!」

そう言って、ナナセは電話を手に取り、どこかにかけ始めた。
ナナセが電話をしている間に、さっきから『ほら、早く好きって言え』『隣に座ったぞ!チャンスだ!』などとほざいてるブラストを黙らせる。
相手は父親だったみたいで、すぐに話がついたようだ。電話を終え、

「今日の夜に会おうだって。大丈夫?」

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