幕引き
カランを中心に爆発が起き、爆風で傭兵や研究員が吹き飛ぶ。そして、周りの壁も破壊されていく。
「ぐああぁっ!な、何だ!?」
「うわああっ!」
研究所は半壊し、あちこちから煙が立ち上っている。
俺たちはすぐに立ち上がって、爆発の前に抱き寄せたナナセの様子を見る。幸い脈があり、呼吸も出来ているようだったが、ピクリとも動かない。
「…ブラスト…ナナセは生きてるのか?」
『生きてはいるはずだ…ただ意識がないようだ』
ナナセの中に触手のようなものを入れて軽い検査をしていたブラストがそう告げる。
俺は少しホッとしたが、沸々と湧き上がってくる怒りは一切収まらなかった。
「いやぁ、中々な攻撃じゃないか。私じゃなかったら死んでいたかもな」
そう言って、いつの間にか紺色のシンビオートに包まれていたカランはこちらに歩いてくる。俺たちはナナセを部屋の外の、比較的安全そうな場所に寝かせた。
「私のシンビオートは頑丈でね。あのヴィブラニウム並みの硬度を持つこともできる。いかに熱が弱点でも、あの爆発程度では……」
なにか言っていたカランを思い切りぶん殴り、爆破させる。
「ぐっ!お前!」
「俺は……あんたみたいなクズ野郎が一番嫌いなんだ」
カランの体に纏わりつくシンビオートを掴んで、投げ飛ばす。
壁に叩きつけられたカランは怒りに満ちた表情をしていた。
「貴様ぁ!!この私を侮辱するのか!?」
『うるせぇよ。さっきから聞いてりゃ、俺らのことを実験動物みたいに言いやがって……。ふざけんのも大概にしとけ……』
ブラストが凄まじい殺気を放ちながら言った。
「私は科学者だ!人類をより良くしようとしてるんだぞ!!お前達の犠牲など安いものだろう!!」
「誰かを犠牲にしようなんて考えた時点で、お前は終わってんだよ」
俺たちはさらにカランを殴る。だが、カランのシンビオートはとても硬く、爆破させても中々ダメージが通らない。
「黙れ!!協力するなら生かしてやろうと思ったが、お前たちの血は殺してから奪うことにしよう!やれ!クワッシュ!」
『ワガッタ』
そう言って盾のようなものを形成し、そのまま俺たちを押し込んで潰そうとする。
「ちっ」
俺達はそれを避け、クワッシュの作り出したシールドの壁を殴って爆破した。しかし、爆発させてもすぐに形が直される。そこで一旦距離をとって、作戦を練る。
(くそ……このままじゃ埒があかねぇな……)
『ああ、爆破してもすぐ再生されちまう。まいったな』
(何か手はないのか?)
『一気にアイツの防御を崩せるような、デカい攻撃をすりゃあいい。いいか…』
俺は少し嫌な予感がしたが、ブラストの言う作戦にのった。
(はぁ、分かった。それで行こう)
『いいか?しっかりやれよ?行くぞ!』
そう言って、俺たちはカランにもう一度殴りかかる。
「はっ!馬鹿の一つ覚えだな!!そんなことでクワッシュの防御は破れんよ!」
そう言って俺たちが殴ってくるのを気にも止めず、逆に殴りかかってきた。しかし、その拳にブラストが纏わりついていき、
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