黄色獣人(猫)と出会う
「ボス~!!!」
「っと!?」
「あぁ! ボス! なんで避けるのです!?」
「マーキングするのはやめてって言ってるでしょデルタ」
「嫌なのです! ボスは大人しくデルタにマーキングされるのです!」
「取ってこーい」
「!」
僕は魔力で作り出したボールを明後日の方向に投げると、デルタはボールの方に全力ダッシュした。見事デルタはボールが地面に着く前にキャッチして僕の方に戻ってくる。
「ボス! 取って来たのです!」
「偉いぞデルター」
デルタの身体をワシワシと撫でる。デルタは嬉しそうだ。身体を擦り合わせようとしたので、僕はデルタからボールを奪い、また投げると
「あ! 待つのですー!」
今回はかなり遠くに投げた。これは無理かなと一般人は思うだろうが、相手は獣人。しかも単純な力と速さなら、僕が知る限りデルタが一位だ。もちろんこれは魔力を使わない前提である。
魔力を使っての力と速さなら僕の方が上だ。デルタは一度足に力を入れると、そのまま大きくジャンプした。いやぁー、高いねー。デルタがマーキングしようとしたら僕はボールを投げ続け、彼女のマーキングを阻止するのであった。
「アルファ様に呼ばれたから戻るのです! ボス! また遊んで!」
「はいはい、行っておいで」
「行ってくるのです!あ、ボス! デルタが言っていた獣人の集落はあっちなのです! それじゃあまた遊んでくださいなのです!」
いつのまにかマーキングするのを忘れ、ボール遊びに励んだデルタ。彼女が帰ったところを確認すると一息つく。あんなに楽しそうにボールを追いかけていたら、辞めるタイミングを言いづらいよね。あぁー、肩こりそうだなこれは。
実はデルタに獣人の里に行ってみたいから、どこにあるのか案内してと頼んだのだが、デルタはアルファに仕事を任されたようで、一緒に行けないようだ。ちなみにデルタは僕と何が何でも生きたいとアルファに言ったらしいのだが、アルファがデルタに何かを言った後、デルタは涙目でお腹をアルファに見せて震えていた。一体何をしたんだアルファ君。
デルタを待って違う日に行けば良いんじゃないか?
そう思うのも分かる。だけど、僕は今行きたい。この気持ちは時間が経つと熱が冷めるタイプの燃え方だ。後でやろうと思っても、なぜかあまりテンションが上がらない。あの時のテンションならもっと楽しく出来たのにと思ったことは多々ある。今回はそのテンションだったからしょうがないのだ。
というわけで獣人の村に向かうぞー。
着いたー。なんか途中で面白い遺跡があったからそっちに行って時間を喰ってしまったが、無事に着いたぞー。あれ、なんか聞いていた感じと違うけど…。でもデルタが村から出て時間も立っているみたいだし、そういうもんなのかもね。っとあそこにいるのは村人男と村人女。2人は夫婦かな? 雰囲気がそれっぽい。
あれ? 何か見覚えがある? 気のせいかな
ここは話しかけてみよう
すいませーん
「何かね?」
「ここは獣人の村ですか?」
「いかにも。獣人だけではないけどね。人間もいるよ」
「そうなんですねー。僕友達に獣人がいるんですよ」
「おぉ、そうなのかい? それはここの子かい?」
「多分違います。どこかの村にいるとは聞いていましたが、ここかどうかは…」
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