黄色獣人(猫)にお願いされる
どうやって僕のことを調べたのだろう。気が付いたら僕の前にその子は現れた
「久しぶりシャドウ。会いたかった」
そういって僕の身体に尻尾を巻き付ける。尻尾は獣人にとってとても繊細なものだから、無理やりどかせる真似はしない。多分金的喰らわせるようなものだからね。以前デルタの尻尾を無理やりどかせたら、すごい痛がっていたから。
だから僕は言葉で相手を説得しようと思う。
「ゼータ。尻尾巻き付けるのはやめてくれないかな」
「私だってしたくてしてるわけじゃないよ? 勝手に尻尾が動いちゃうんだ。それに…この臭い…うん…した方が良い。絶対良い」
「そうなのか」
以前デルタに尻尾について質問してみた所、自分の意思で勝手に動いてしまうときがあるらしい。
ならしょうがないな
修行を見直したハードな訓練を終えた眠い頭をなんとか働かせて
…あれこんなところに来たっけ?
「なんでここにゼータがいるのかな」
僕は勢いよく下がると、ゼータの尻尾はビクッとした後に僕から離れた。身体はまだ動くけど、そのうち動かなくなるくらい眠い。これ大丈夫かな…。
「もう! 突然動くからびっくりしたじゃん! なんで離れるの?」
「いやくすぐったくてさー。ごめんねー?」
「…へー。じゃあくすぐったくなければいいんだね?」
「え」
「私シャドウの膝の上に乗ってみたい。それならいいでしょ?」
「えー」
「いいじゃんー。おねがいだよ~シャドウ~」
ゼータは招き猫のように手をクイクイと引き寄せてくる。そういえばデルタ以外の獣人にモフモフ攻撃をしたことがないなーとぼんやりした頭で思う。デルタにしたときは、くすぐったそうにして離れたことがあるから使えるかもしれない。そのあと直ぐにくっ付いてきたけど、その間に逃げれば良いかな。僕の速さなら余裕だろうし。
「しょうがないなー。ちょっとだけだよー?」
「うん! ちょっとだけちょっとだけってね~」
ゼータは親指と人差し指を寄せて、ちょっとだけと言いながら僕に近づく。不思議と不快感はなかった。
僕は適当にその辺に座ると、ゼータはちょこちょこと歩いて、僕の膝の上に乗って来た。僕と向かい合う形だ。彼女の顔が目の前にある。
「わあぁ! シャドウの顔が目の前にある。クンクン」
「こら、匂いを嗅がない」
「えぇ~? だって良い匂いするよ? ねぇ、舐めていい?」
「ダメです」
「もう釣れないなー。まぁ、そんな簡単に釣れるのも楽しくないもんね」
ゴロゴロ
「あ」
ゼータは真っ赤な顔を手で覆っていた。指と指の隙間から彼女と目が合う。彼女は恥ずかしそうにしながらも、僕の瞳を見つめていた。
「ゴロゴロ鳴ったね」
「言わないでよ。恥ずかしいんだから」
「そうなの?」
「シャドウ以外なら全く気にならないんだけど、シャドウだと気にするんだよ。もー、恥ずかしい」
ゼータは顔を見られないように僕の胸板に顔を埋めた
「ちょ、胸に顔を擦りつけるな」
「恥ずかしいから無理。擦られて」
「ダメです」
「嫌」
「僕が嫌だよ」
「本当に嫌なの?」
「そうでもない。良い匂いする」
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