銀髪エルフの目標が決まる
銀髪のエルフ、この子をベータと名づけることにした。ベータに物語を話してほしいと言われ、眠るときによく聞かせている。眠る前は、文字や通貨といった部分を教えている。この子も品性が良い方だ。すぐにこちらのいう事を理解し、分からないところは質問してくる。僕がそれを丁寧に返していくと、流石シャドウ様と言われる
そう、シャドウ様と言われている
僕は呼び捨てで良いよと言ったのだが、ベータは自分を助けてくれた人を呼び捨てすることはできないと言った。魔力の扱い方も教えている内に、いつの間にか僕のフィギュアが出来ていた。それを見つけられたベータは顔を真っ赤にしていた。
「だってシャドウ様がとてもカッコイイから…その…作っちゃいました。会えないときは、それに話すことも…っ! な、なんでもないですっ! 今のは忘れてください~~!」
しかし、このフィギュアは良く出来ている。筋肉の場所や付き具合が正確で、骨格も、寸分のズレも無く僕とぴったりだ。フィギュアは1つだけではなく、日が経つに連れて、増えていく。顔つきやポーズも全部違う。何かの服を着ているのもあれば、中途半端に服が破れているのもあり、全裸もある。しかも僕のあれが…かなり正確に…。ベータは自身のフィギュアを作ったようで、僕と同じように何か服を着ているのもあれば、中途半端に破けているものもあり、全裸もあるようだ。僕と彼女のフィギュアをくっつけて遊ぶこともある。
僕自身にフィギュアを作って欲しいと言われ、いくつか作ったことがある。それを受け取ったベータは無表情で何かをしていたが、あれは出来が気に食わなかったのだろうか?
まぁ僕はこういうの考えるのは好きだけど、実際に作るのは苦手なんだよね。気にしないで良いか!
用意した収納棚にはフィギュアが5割を占めるようになっていた。ちなみにフィギュア総数は僕が99%、ベータが1%だ。1パーセントであれだけ彼女自身のフィギュアがあるということは、僕のは…考えるのをやめよう
な、なんかこのまま一緒にいると、危ない感じが…
僕はベータに帰らないと行けないといい、来る回数が激減することを伝えると、彼女は泣いてしまった。しかし、引き留めるようなことはしなかったので、素直に別れることを理解してくれた。僕は彼女に手を振ってその場から離れた。
生きるのに必要な知識は与えたい、体験もさせて出来るように付き合ったし、あとは大丈夫でしょう!
教えた物語も種が終わってきたし、じゃあねベータ! またいつか会おうね! 来世とかで!
そこはある小屋の中、銀髪のエルフは机の上に敬愛する主から頂いた地図を広げる。そして主様が作った人形を手に取ると、地図のある場所が点滅する
「ここに向かっているのかな…でも会うのはまだ先かなー」
彼女は背もたれに寄りかかり、収納されている人形に目を向ける。それを見ると心が安らいだ。
「私がダメだから置いていかれたんだろうし…。もっとシャドウ様の力になれるように、私も何か頑張らないと!」
あの冷たい暗闇の中消えていく私を見つけてくれた。生きていく知識と体験をさせてもらい、何か返す前に彼は去ってしまった。多分、泣きながら説得すれば、引き留めること自体は出来たと思う。だけど、それだけだ。一緒にいても、私自身が無力では、彼の足手まといにしかならない。彼の手を煩わせることなく、力をつけて、彼の力になりたい。
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