ハーメルン
待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!
個性無き子。
「ぶっちゃけ、爆豪君とどういう関係……!?」
「許嫁が居るって言ってたけど、もしかして……!」
「中学生なのに許嫁ってことは、つまりそういう……!?」
折寺中学校に転校したその翌日。どうやら昨日の儂は、盛大に間違えてしまったようじゃ。と、言うのもじゃな? 授業に遅れて教室に入ったまでは良かった。いや、転校初日から遅刻してしまったのは良くないが……まぁそれは良い。道が分からんかったんじゃから仕方ない仕方ない。
……それよりもじゃな? その後にした自己紹介で、多いに間違えてしまったらしい。儂としては事実を口にしただけなんじゃけども、何やら誤解が生じている気がする。今日も舎弟の案内で教室に踏み入ってみれば、儂はまだよく見知らぬ顔の子供達に囲まれてしまった。それで、あれやこれやと質問されてしまってる訳じゃ。
これがまぁ何とも喧しく、そして面倒なものでのぅ。どうも、子供達は儂に興味津々のようじゃ。特に
女子
(
おなご
)
。がぁるずとぉく、は止して欲しいものじゃ。
やはりあの自己紹介は、盛大な間違いじゃったのかもしれん。じゃって、儂の許嫁が爆豪勝己と誤解されてしまっている。……ような気がする。それは違うぞ。断じて違う。そこのところは、否定して置かなければ……!
「ぃ、いや違うんじゃ。勘違いは止さぬか。
……あやつはただの舎弟で、許嫁ではない」
「誰が舎弟だクソチビ!! てめえ俺のカースト下げようとしてんじゃねえぞ!!」
「喧しい奴じゃなぁ……。そもそも貴様は、最初から心象が悪いじゃろうに」
「悪くねえんだわ! 死ねチビ!!」
うぅむ。うるさい。喧しい。この小僧は、叫ばねば人と会話が出来ぬのか? もしそうじゃとしたら、それはもう難儀な奴じゃの。かなり生き難いんじゃないか? ……知らんけど。と言うか、そんな言動を所構わずするんじゃない。貴様が声を出すなり、儂を囲ってた連中の半分ぐらいがそそくさと去って行ったぞ。いやまぁ、下手な質問責めをされることは無くなったじゃろうから助かりはするんじゃけども。しかしのぅ……。ううむ……。
それと、かぁすと……とは? いつぞやに被身子が話していたような気がしないでもない。何じゃったっけ? 何でこう……、日本語は英語を混じえた言葉になってしまったのか。これが時代の変化、か……?
「か、かっちゃん……。許嫁居たんだ……?」
「ああ゛? 俺に許嫁が居たとして、てめえに何の関係が有るんだクソナード!!」
「い、いや別に関係は無いと思うけど……」
……む? 舎弟の喧しさをどうしようか考えていると、知らん男子が舎弟に詰め寄られておる。見たところ、大人しそうな奴じゃの。この手の子には、舎弟の存在は毒としか思えん。仕方ない、止めておくか。
「そこまでに、しておけっ」
取り敢えず、拳骨じゃ拳骨。これ以上の狼藉は見過ごせないからの。これ以上何かしてしまう前に、大人しくさせておこう。でないと、今以上に騒々しくなるような気がしてならん。転校して早々騒ぎに巻き込まれるなんて勘弁して欲しいところじゃからの。
「でっ!? ……てんめっ、人の頭を殴ってんじゃねえぞ!!」
「喧しいんじゃ貴様。弱いくせに粋がりおって。身の程を弁えろ、たわけ」
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