ハーメルン
神羅計画-Lekage‐ 不死を求めた老獪の不始末で死にかける学生達
漏洩
「魅傀は、境夜にゃんが好きにゃ。初めて会ってからずっとずっと、会えるのをずっと待ってたにゃあ。だから、やらなきゃいけないことが終わるのも、待っていられるにゃ。」
「……」
「…………ダメ、ですか?」
「………………お友達からで」
デカい図体から発したとは思えないヘタレ極まる雑魚回答。万死に値する貧弱な返答。曲げればへし折れるような骨粗鬆症のような、在って無いような骨のある返しに、魅傀は。
「にゃあ」
満面の笑みで返した。
外部から見れば救いようの無いマイナス千点の答えでも、恋する少女には充分魅力的に映ったらしい。
一方、この様子を離れた場所から見守っていた
銀河
(
うちゅう
)
と他二名は。
「おい、何だいこの青春ドラマみたいな状況は。何でガキの惚れた腫れたをあたしゃ見せられてるんだい」
「いや~実は昨日、みけみけがきょーちゃんと結婚したいくらい好きだって~聞いちゃったんだー。ねえひひろん!」
「……う、うん」
自分の一生には既に金輪際関係がない若さと青春を見せられてイラついている醜悪な老婆と、唐突なラブコメをキラキラした表情で見ている魔法少女志望の女子高生と、境夜から離れたことで冷静さを取り戻して、ついでに自分の行いを振り返って自己嫌悪に潰されそうになってい体育すわりの児幼児体系jkという、老廃物が混ざった三者三様の状態だ。
「やっぱり高校生活には、彼氏が欲しいよね~」
「あたしは、そんなものいらない……こんなあたしが彼氏なんてつくっても、きっと勘違いで銃口を向けるんだ…アハハ……」
「うわあ……めっちゃ卑屈」
「ウチは恋愛禁止はしてないが、あんまりいちゃ付くと鬱陶しいし、校則に追加しようかねえ」
「なにそれ横暴! それは横暴だよ校長先生! 自分が喪った青春を、未来ある若者からも没収するのは良くないと思う!」
「何言ってんだい。学生の本分は勉強だよ。余計なもんに意識が取られないようにしてやる有難い配慮だよ感謝しな!」
「取り上げ教育反対! 失敗も出来ない環境じゃ、失敗した時に立ち直る練習も出来ないと思います。そんな人間ばっかりになったら、もし次に神災が起こったら被害者は復興する力も持たずに死んじゃうよ!」
「知るかいそんなもの。生きるか死ぬかを窮地で選択出来ない人間なんざ、酸素を減らしてまで生きる価値もないよ!」
「鬼! 悪魔! 妖怪若者妬み‼」
「…………なんて謝ればいいんだろうこれ……。魅傀にも神条くんにも……ああ……」
一方がラブコメしている裏で、なんとも視界に入れるのが躊躇われる光景だ。だから、ラブコメに一区切りつけた魅傀が満面の笑みで現れたのは、この陰鬱に終止符を打つ良いきっかけになる。
「みんなー。境夜にゃんがカレーご馳走してくれるってー! みんなで食べるにゃんー!」
太陽のような笑みだ。今は効かないが、きっといつか浄化系の魔術の一つになるのだろう。
「―ちょ、誰かこのネコミミをあたしから離しな! 溶ける‼」
「ああああああああああ…………!」
「あー。ひひろんがもう溶けちゃったよ……」
「……にゃ?」
……溶けるのは予想外なのである。
昨夜、夜で歩いていた悪い子が二人いる。消灯を破って、挙句キャメラを没収された男は悲しみに濡れて枕とパンツを汚して、朝もばっちり寝坊していた。
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