13話 個性把握テストと葡萄ジュース。
最下位除籍という相澤先生の言葉に動揺するクラスメート達。それは当然のことだろう、雄英高校ヒーロー科に入学するために今まで頑張ってきたのにそれが初日で台無しになるのだから。
だが相澤先生は生徒達のその不満を一蹴する。
自然災害、大事故、身勝手な敵たち、厄災溢れるこの世界にて人々を守る矢面に立つのがヒーロー。
苦難を与える、取り返しのつかない理不尽に直面した時に足を止めないために。
嫌われ役を厭わない相澤先生の態度に誰もが息を呑んだ。
さて個性を用いた体力テストな訳で全力を出すと決めたが問題がある。
僕には異世界の技術、それだけで精霊魔法に神聖魔法と剣技などのスキルがあり、そこにオールマイトから託されたワンフォーオールまである。
それら全てを勇者という個性で誤魔化しているわけなのだが、いかに手札が多くとも常に全てを使うわけにはいかない。
そもそも魔法に関しては精霊と対話(向こうだと笑い話にされてた)できるおじさんと違って細かな微調整なんてできない。
だから魔法を体力テストで使うことは無駄に周りを壊す可能性が高いからやるべきではない。
なので使用するのは個性であるワンフォーオールだけに絞る。これとてハイパワーな出力がでる厄介な力なのだが、倒壊したビルを支えるパワーと卵の黄身を箸で掴める繊細さを両立できてはじめて使いこなすといえる。周囲に被害を出さずに最大出力を出すことを目標にテストを行うとしよう。
さて体力テスト。
それぞれ個性により得手不得手と分かれるけど、流石最高峰に入学した生徒だけあって誰もが高水準だ。
50m走で有利なエンジンの個性を持つ飯田君や、レーザーを意外な活かし方で使用した青山君まで様々だ。
「緑谷よ」
「うん?」
体力テストって半分くらい脚力次第だよね、とぼんやり考えていたら烏のような頭をした生徒に声をかけられた。名前は常闇踏陰で黒影という影のような相棒と協力する個性みたいだ。
「実技試験のように魔法は使わないのか?」
彼は入試会場で一緒だったようで僕の魔法を見ていたようだ。だから魔法を使用してない僕に全力をだしてないと文句を言いに来たのかと思ったら、彼のキラキラした眼差しがそうじゃないと告げていた。
「えっと、威力的理由とかで使えないんだけど。もしかして見たいの?」
光剣とか体力テストに関係ないし。
「使用せずとも好記録だから納得できるが、興味が尽きないのは事実だ」
めっちゃ目がキラキラして超見たいって顔に書いてある。いやどうしよう活かせるとしたら変身魔法だけど、いっそ亜竜にでもなるか?いや動物とかに変身すると意識保つの大変なんだよね、あの思考するのが馬鹿らしくなる感覚の誘惑が酷くて。
「そうか」
うん、露骨にガッカリしとる。
「闇剣顕現ー(クローシェルギド リオルラン)
とりあえずこれで勘弁して」
魔法や洗脳に契約とか法則を斬る、不可視世界の闇魔法だけど常闇君的には好きなヤツだよね。
「フオオオッ!」
めっちゃツボみたい。
「まさに深淵なる剣っ!!」
常闇君喜んでくれてるから良いけど、そういえばコレって個性も斬れるのかな?おじさんの話だとWiFiとか斬れるらしいけど(なんで試したんだあの人?)。
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