ハーメルン
異世界イズク
18話 襲撃に勇者よ立て。


 またオールマイトが教職(本業)サボってヒーロー活動していたみたい。
 本人の性格上仕方ないにしても、ヒーローとしては伝説でも教師としては新米なのに。
 塚内さんもボヤいていたけど、ヒーローとして誰かを救う行為以外は本当にポンコツらしい。まあその抜けた感が親しい人には支えようと思わせる魅力だけど。
 
 本日のヒーロー基礎学はなんでもござれの人命救助訓練。回復させてあとは転がしとけば良い異世界の人達とは違って、救いだしてから病院への搬送まで手順が多い、きっちり身につけないと。
 コスチュームは各自判断、訓練場はバスで移動するくらい距離の離れた場所だ。
 本当に広大な敷地だな、異世界の結界都市くらいはあるんじゃないかな?
 コスチューム着用後にバスに乗り込み。遅れている人がいないかだけ確認して席は自由で良いだろう。

「私思ったこと何でも言っちゃうの緑谷ちゃん」

「どうしたの蛙吹さん?」

「梅雨ちゃんと呼んで。あなたの個性ってどれだけのことが出来るの?」

「だよな、光剣に闇剣に回復魔法に身体強化ってなんでもできるよな」

「勇者っぽいことできるとか万能過ぎでしょ」

 いやまあそんな個性ありませんし。あくまで異世界で体得した複数の技術+ワンフォーオール。
 それに無個性だった僕からしたら誰の個性でも割とそんな感じではと思う。一つの個性に複数の要素含んでるなんてザラだし、訓練だけで成長どころか別物レベルで進化したりするから。

「どれだけって、やろうと思えば大概のことは」

 ワンフォーオール一つでも今ならビルを持ち上げることも脚力のみで空を飛べるだろうし。

「何でもでき子ちゃんかよ」
 
「俺の硬化は対人では強えけどいかんせん地味なんだよなー」

「緑谷の実力は個性だけではなく本人の技量もあるだろうがな」

「だよな、身のこなしから道場にでも通ってたのか?」

 異世界です。
 障子君や尾白君は結構目敏いね、二人とも格闘技に精通してるからかな?
 
「まあね。けどヒーローに重要なのは個性を使うことじゃなくて、人助けすることだから。個性なんてあくまで手札の一つくらいの認識で充分だよ」

 最近のヒーローは個性を人助けに活かすじゃなくて、個性をこの現場にどう当てはめるか、に意識がいっている気がする。
 必要ないのに個性使って現場荒らすんだよは、警察のヒーローに対する本音の一つだとか。
 相澤先生に注意されるまで僕たちは雑談を楽しんでいた。
  
 コレは明らかに趣味でしょ。
 辿り着いた訓練場は色々アウトな名称の施設。
 事故や災害の体験は昔から色々な機関で試みられてたけどコレは極めつけだね。
 というかテーマパーク感がすごい。
 担当するスペースヒーロー 13号の説明と好きなヒーローの登場にはしゃぐ麗日さん。あとオールマイトまたやらかしてるし、それで良いのか新任教師。

「えー始める前にお小言を一つ二つ三つ四つ、」

 多いよ。

「皆さんご存知だとは思いますが、僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」
 
 いや本当に何でもありだよね個性。
 むしろ人助け行為が個性を応用した結果にしか思えない。

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