3話 変わった世界と投げ出そうとする夢。
半年間の異世界グランバハマルの生活を終えてから数日がたった。
かっちゃんが(引きつった顔で)病室から去った後に駆け込んできたナースに簡単な検査を受け、母と半年ぶりに再会。
泣きながら抱きしめる母の胸の中で、ああ帰ってきたんだと実感した。
あの過酷な異世界生活。このまま死んでしまう、帰れないのではないかと何度絶望しただろうか。
けどセ○サターンソフト読者レースの最終結果を見るまで死ねない(超どうでもいい)と強く想うおじさんが横にいたから諦めずに生きていけたんだと思う。
なお件のおじさんはそう遠くない未来で「ガーディアンヒー○ーズ」が1位ではない現実に絶望し異常気象を起こす模様。
あと数日は検査と、僕がトラックに轢かれたことによって起きた騒動の件で入院するらしい。
騒動か、ヘドロヴィランのことかな?
あるいは交通事故の話かもしれない。
だがそんなレベルではすまない事態が起きていた。
翌日の検査の後に警察から聞かれた質問は交通事故について、僕が自殺目的で道路に飛び出したのでないかという話だった。
なんでも無個性だから学校で苛められ、ヘドロヴィランの事件でも無個性だからと過剰に責められたことが原因だと世間は思っていたらしい。
僕としては報道されている事に驚いたけど。
だが自殺のために道路に飛び込んだなんてそんな事実はない。
僕はその瞬間何も考えてなんかいなかった。ただ子供を助けようとしたんだ、と告げた。
その言葉に嘘はなく、誰かに強制されてないと判断されてこの件は終わった。
口答だけで納得されたのだからきっとその場に嘘発見器みたいな個性の人がいたのではないかと思う。
警察とのやり取りが終了したら、今度はヘドロヴィランの騒動に参加したヒーロー達が面会しにきた。
僕の疑惑で評判を下げた話かと思ったけど、来たヒーロー全てがすぐ近くの交通事故を防げなかった不甲斐なさを謝罪してきた。
面会が終わった後、彼らがヘドロヴィランの件で説教したことを謝られなくて良かったと個人的には思う、謝ってきたらそれは保身のために感じるからだ。少なくとも僕はあの時の彼らからの説教を間違いだと思っていないのだから。
「明日から学校か」
警察やらヒーローの反応を見る限り学校でもなんかありそうだなと想像できる。
塚内という警官がこっそり打ち明けてくれたことだが、ヒーロー公安委員会が僕の件に便乗して差別問題の撲滅に動いているらしい。無個性、異形個性、ヴィランっぽい個性、それらの漠然としたイメージによる迫害がヴィラン発生の根源である(あとは貧困)。さらに人間性を育み、社会性を学ぶ教育機関で受けた仕打ちこそがその後の人生に大きな影響を与える。
今までは他所の管轄だからと手を出せなかったが、僕の件で強引に介入して改革に動いているらしい。
うん、正直途中から話が大き過ぎてついていけませんでした。
学校やクラスメートはどうなっているやら、かっちゃんの変わりぶりを思い出すと恐怖すら感じるよ。
屋上にて空を見上げる、秋空の下はやや寒い。
けどなんか今高速で通り過ぎたような?ヒーローかな。
「予想してたけど存在が腫れ物扱いだったよ、かっちゃん」
「あれから咎められたり罰則こそねえが、半年間毎日倫理教育が追加であったからな」
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