ハーメルン
とある絶対零度のヒーローアカデミア
過去と入試

僕、緑谷出久の人生はあの日、両親がヴィラン犯罪に巻き込まれて死んだ日に一変した。

あの日、両親は無個性と診断された僕を元気付ける為に、僕が大好きなヒーロー《オールマイト》の記念展に連れて行ってくれた。

けど僕は心から楽しむ事が出来ずにいた時、記念展にヴィランが数人、ヒーローを投げ飛ばしながら乱入してきて、手当たり次第に人々を襲い始めた。
そして1人のヴィランが何が起きているのか解らず呆然としていた僕に目を付けて、襲い掛かってきた。

「出久!!」

「危ない!!」

それに気付いた両親が僕を庇う様に割り込んできたかと思ったら、2人がヴィランの攻撃で血を流して倒れる姿を僕は目の前で見てしまった。

「お父さん…?お母さん…?」

ピクリとも動かなくなった両親を見て僕は深い損失感を感じたのを覚えてはいるが、それ以上の事は覚えていない。

後から聞いた話ではたまたま近くにいたエンデヴァーにより、ヴィラン達は捕らえられたが、僕の両親を含む十数人が犠牲になったらしい。

両親の葬儀になったのだが両親の親はいきなりの事で寝込んでしまい、出久を預かれる様な精神状態では無いことから親戚の誰かが預る事になったのだが

「ウチは無理よ!子供が2人居るんだから!!貴方の所で預かりなさいなさいよ!!」

「何でウチが役立たずの無個性なんかを養わないといけないんだ!!
2人が3人になろうとさして変わらんだろう!!お金は甚だ不愉快だが出してやるから面倒を見ろ!!」

「ウチだって無個性なんか嫌よ!!」

と、僕に聞こえる様に言い争っていた。
そんな会話に涙を流していると、仕事の影響で遅れて来た父さんのお兄さんが激怒した。

「いい加減にしろ!!子供の前で良くもそんな事が言えるな!!お前たちはそれでも人間か!!」

「何よ!!じゃあ貴方が面倒見なさいよ!!私達はごめんよ!!」

「元からそのつもりだ!!」

叔父さんはそう怒鳴り付けると、僕にゆっくりと近付きそっと抱き締めてくれた。

「もう大丈夫だ。叔父さんと一緒に行こう。」

その言葉を聞いた瞬間、僕は泣き崩れていた。



それから僕は叔父さんに連れられて叔父さんの職場がある学園都市に引っ越した。

学園都市では個性では無く、個性とは似て非なる力を研究する場所だという。
そこで僕も水を操る能力者《水使い(アクアマスター)》の力を得た。
けれどあの頃の僕は何かに取り憑かれたかのように自分自身を省みる事なく、力を得ようと特訓に明け暮れていた。

叔父さんの制止も、僕のメンタル面での主治医だったリカバリーガールからの忠告を無視して、能力を鍛え続けた。

そんな僕の心の支えになったのが当時隣に住んでいた御坂美琴ちゃんと、先輩であり僕の憧れでもある上条当麻さんだった。

「アンタ、そんな無茶して死にたいの!?両親が殺されて復讐したいのは何となくだけど分かる!!私には止める権利は無いかも知れないけど!!それでアンタの両親が喜ぶと本気で思ってるの!?」

「力を手に入れたいねぇ…俺には力を手に入れた所でお前が幸せになるとは思えないな。力ってなんの為に振るうかが1番大切なんじゃねえの?」


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