ハーメルン
さみしがりやの恋中さんはあまあまをご所望 ~お隣の天才プログラマーが今日も俺を離してくれないので諦めてイチャイチャしてたらいつの間にか両想いでした~
恋中さんとおっぱい
現実世界にも伏線が存在している。
ちょっとした発言や行動が未来に繋がったり、人の行動を左右したりする。
恋中さんは紙の皿を机に置いた。
その皿には特徴的な卵料理が乗っている。
「おっぱいオムレツです!」
俺は彼女に背を向けて両手で顔を覆った。
「ごめん、ちょっと待って」
伏線回収、早過ぎるだろ。
俺、マジで「おっぱい大好き星人」だと思われてるらしい。
落ち着けと自分に言い聞かせる。
そして深く息を吸い込み、冷静に問う。
「どうして、そのチョイス?」
「お好きでしょう?」
「……何が?」
「もちろん、おっぱいです!」
どうすんだこれ。どうすればいい? 誰か教えてくれ。俺はどうするべきなんだ。
一応、理由をたずねてみようか。
「……どうして、そう思った?」
「だって、よく見てるじゃないですか」
「……何を?」
「私のおっぱいです」
「恋中さん、聞いてくれ」
俺は振り返る。
それから彼女の顔を見て、
「ほら、今もチラッと見ました」
存在感がデカ過ぎるんだよチクショウ!
「違う。見てない。とにかく、誤解なんだ」
「べつに遠慮しなくて良いですよ。見るだけなら気にしないですから」
彼女はそれを強調するように両腕を寄せ、どこか挑発的な表情で俺を見て言った。
ごくりと唾を飲む。
本人が良いと言うのならば、遠慮なく目に焼き付け──違う。違うんだ。誤解なんだ。
「触るのは絶対にダメですからねっ」
彼女は身を守るようにして腕組みをした。しかし、胸の下で組まれた腕はより強くブツを強調してしまう。
……見るな見るな見るな。
俺は必死に目線を上げた。
そして彼女が恥ずかしい気持ちを隠すような表情をしていることに気が付いた。
……KDPのためってことか。
友達を作るためならば、ある程度は手段を選ばないという強い意志が感じられる。
俺が言葉を探していると、彼女は急に不安そうな顔をして、相手の機嫌を取るような態度で言った。
「夏になれば、お友達特典として、水着までなら頑張れますので」
だから少なくとも夏までは一緒に居てください、とでも言いたげな上目遣い。
それを見て気がついた。
俺が無言だったから、嫌われたかもしれないと不安に思ったのだろう。
「勘違いしないでくれ」
俺は腹に力を込め、
「俺は、そういう目的で恋中さんと一緒に居るわけじゃない」
「……なら、どういう目的なんですか?」
難しい質問だ。俺はこれまで友達に条件を求めたことなんてない。たまたま同じクラスだった人と話をしたら、それで友達だった。
多分、恋中さんは違う。
彼女にとって友達は「特別」なんだ。
「目的なんて無い」
だけど、だからこそ、言うべきだ。
「一緒に居て楽しい。それだけ」
「……よく分からないです」
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