5話:パメラと秘密の魔導書
「はぁ……」
なんだかよくわからないが、つまりすごいのだろう。たぶん。
「具体的に言えば、性行為しないと出られ痛い!!また叩いた!!汝友を愛し給えよ!」
「クピドよお許しを。そういうのじゃなくてちゃんと実用性のある魔法をさぁ……」
「それがね君、これ以外の魔術書はこの書庫には存在しないよ。修道院だから当たり前だろ?」
……それは、失礼いたしました。
「とりあえず、覚えてみたらいいんじゃないかい」
まあ、退屈紛れにはなるだろうと思うし、持って帰って覚えてみることにした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
後日、パメラを呼び出してお披露目することとなった。修道騎士ルーナも是非とも見たいというので一緒に来てもらった。
「楽しみですね!」
楽しみ、楽しみだろうか……?
しばらく談笑していると、パメラがクサヴェル修道士に引き摺られて現れた。
「お待たせしました、アーデルヘイト審問官」
クサヴェル修道士は私に対して恭しく礼をする。真面目で爽やかな彼がなぜこんな女の世話係になったのか……ねぇ?
「うぅ、おはよう……」
もう昼だが、眠そうな眼をこするパメラ。
「ではクサヴェル、彼女を連れてそちらの部屋に」
「? はい」
事情を聞かされていないクサヴェルと寝ぼけて頭が回っていないパメラに密室に入ってもらうと、すぐ呪文を唱えた。
「あ、待て、待って!!」
パメラの声と同時に扉が閉まる。扉の上には大きな古代文字が現れた。読めないがどうせ碌なこと書いてないだろ。
「おい!ちょっと!なぜ私たちに!」
「大丈夫ですよ!クピド派は恋愛も婚姻も婚前交渉も禁止されていません、むしろ推奨されてますから!」
私の代わりにルーナが返事をする。そう、クピド派は愛の教団。二人の間に愛があるのは割と明白である故、別に問題ないのだ。
ちょっと背中を押してやっただけである。
「ちょっとじゃないが!こ、こ、心の準備が!」
「審問官!パメラさん!一体何がどういう状況なのでしょうか!」
焦るクサヴェルの声も聞こえてくる。私とルーナは二人でニヤニヤしながら聞き耳を立てていた。
まあ、あまりにもゴネるようであれば解除してやろうかな……。
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