ハーメルン
ナンバー1ヒーローの娘になった、悪の組織の改人系ヒロインのヒーローアカデミア
20 体育祭 パート4

『スタート!!』

 開始の合図の直後、早速複数の騎馬が魔美子達に突っ込んでくる。

「実質1000万(それ)の争奪戦だ!」
「怖いけど、行くよー!」

 B組は威勢よく、A組(クラスメイト)は及び腰ながらも奮起して向かってきた。
 個人戦なら勝ち目が見えなくとも、チームプレイ前提である騎馬戦ならという考え方は正しい。
 実際、魔美子は確実に一人で戦う時より弱体化している。

「打つよ! 緑谷少年、踏ん張って!」
「了解!」

 魔美子は足で挟むように緑谷の体に自らを固定し、普段は自力でやれている踏ん張りを緑谷に肩代わりしてもらう形を取った。

(ふ、太もも!?)

 が、ここで誤算が一つ。
 クソナード緑谷は、強い力でギュウギュウと締めつけてくる魔美子の太ももに意識を持っていかれそうになった。
 しかし、彼は脳裏にオールマイトの顔を思い浮かべ、かつて峰田(エロガキ)に見せた親バカの殺気を思い出すことで煩悩を鎮め、支え役に徹する。

「『デトロイト・スマッシュ』!!」
「ぬわっ!?」
「うわぁぁ!?」

 魔美子の放った風圧が、向かってきた騎馬を牽制する。
 崩し目的の攻撃はレッドカードと言われているので、かなりもどかしい思いをしながら調整した一撃だ。
 騎手が騎馬に抱きつきでもすれば普通に耐えられる。
 ただし、そうすると確実に隙ができる。

「今だ! ダークシャドウ!」
「アイヨッ!」

 その隙を狙って、常闇の個性であるダークシャドウが伸縮自在の体を伸ばし、硬直する騎手からハチマキをかすめ取ってきた。
 常闇は迎撃役としてスカウトしたのだが、作戦会議中に思ったよりもダークシャドウが動けるということを知って、あわよくば攻撃もしちゃってくれという作戦に変更してみたのだが、早速上手くハマったようだ。

「おお。思ったより相性良さげだね、私達」
「どうやら、そのようだな」
「衝撃波食らって硬直した相手に、ダークシャドウの伸縮自在で速い攻撃は刺さる! 凄いや!」
「じゃあ、次は私の番! 浮かせたから逃げよう! デクくん!」
「了解!」

 攻撃の直後。
 相手が体勢を立て直す前に麗日が魔美子と常闇にタッチし、二人を浮かせて重量を消す。
 麗日自身も軽くできればなお良いのだが、自分を浮かせるのは消耗が激しく、許容限界を越えてしまうと強烈な酔いに襲われて吐いてしまう。
 なので、ここは緑谷に麗日一人分の重さを引っぱって逃げてもらうしかない。
 とはいえ、フルカウルを会得した今の緑谷なら、そのくらい余裕だ。

『八木チーム! いきなり鉄哲チームと葉隠チームからハチマキをぶん取った上に逃げた! 1000万持ってるくせに、まだ欲しがるか!?』
『取れそうなら取るだろ、普通に考えて。保険は大事だ』

 実況のマイクと解説の相澤は第二種目でも健在。
 そして……。

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