ハーメルン
ナンバー1ヒーローの娘になった、悪の組織の改人系ヒロインのヒーローアカデミア
9 コスチューム

「わーたーしーがー!! 普通にドアから来た!!」

 入学2日目。
 午前は普通の授業をして、午後のヒーロー基礎学の時間。
 新米教師の父が、とうとう教壇に立つ日がやってきた。

「オールマイトだ! すげぇや! 本当に先生やってるんだな!」
「シルバーエイジのコスチュームだ! 画風が違いすぎて鳥肌が!」

 生徒達は大興奮だ。
 皆の憧れ、国民的英雄であるナンバー1ヒーローが目の前にいて、しかも教えを授けてくれるのだから、そうなるのも無理はないだろう。
 娘である魔美子は、そんな父の雄姿を見てドヤ顔を……することなく、父が無事に授業をやり切れるのかどうか、ハラハラしながら見守っていた。
 娘というより、保護者の思考回路だ。

 なお、魔美子がオールマイトの娘だというのは秘密である。
 自分の過去や本性が、平和の象徴への信頼に影を落としてしまうだろうことはよくわかっているから。
 
「ヒーロー基礎学! ヒーローの素地を作るため、様々な訓練を行う課目だ!」

 そんな魔美子の前で、心なしか力の入ったオールマイトが説明を続ける。
 娘に良いところを見せたいのかもしれない。

「早速だが、今日はこれ! 戦闘訓練!」
「戦闘……訓練……!」
「そして、そいつに伴って、こちら! 入学前に送ってもらった個性届と要望に沿ってあつらえた、戦闘服(コスチューム)!」
「「「おおお!」」」

 コスチュームと戦闘訓練。
 入学2日目にして、早速ヒーローっぽいこと筆頭が出てきた。
 ヒーローに憧れて入学してきた生徒達のテンションはうなぎ登りである。

「格好から入るってのも大切なことだぜ、少年少女! 自覚するのだ! 今日から自分はヒーローなんだと!」

 各々がコスチュームに着替え、グラウンドに出る。
 格好だけならプロと大して変わらない、機能とカッコよさを両立した服装。

「さあ、始めようか! 有精卵ども! 戦闘訓練のお時間だ!」

 そうして、オールマイトの初授業は始まった。

「あ、デクくんカッコイイね! 地に足ついた感じ!」
「麗日さ……うぉぉ……!?」

 少し遅れて来た緑谷が、体のラインがハッキリ出るスーツに身を包んだ麗日を見て目を見開いた。
 健全な男子の反応だ。

「デクくん? いつの間にあだ名で呼ばれるようになったんだい、緑谷少年?」
「八木さ……おぉぉ……!?」

 今度は魔美子のコスチュームが目に入ってしまった緑谷。
 胸の周辺のみを隠す黒いチューブトップ。
 腰回りにはショートパンツ。
 あとは頑丈そうな靴と、いつも着けているチョーカーくらいしか身に着けていない。
 肌の露出がクラスで1、2を争うほど多い。

 背中から翼だの尻尾だのが生えてくるから後ろ側は露出している必要があり、かといって前だけ完全に隠すというのもバランスが悪いし、そもそも肉体がバカみたいに頑丈なので、修復とかが面倒なコスチュームは最低限の方が良いという、魔美子なりに考えた格好なのだが、健全な男の子の目には悪い。
 ついでに、お父さんにとっては気が気ではない。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析