パイロット=水先人
黒く濁った水の流れる排水路沿いを歩く。
狭い道幅のため、ヘイズ、俺、師匠の並びで進む。
ダンジョンのような道中で、気分はローグライク!
「セントラルの地下に、こんなところがあるんだなぁ」
頭上を見上げれば、幾重にも交差する空中通路。
そして、天井があった。
若干、煙って見にくい。
「今は地上にあるが、ここが本来のセントラルらしいぞ、少年」
「はへぇ……」
師匠の豆知識に相槌を返す。
ティタン・フロントラインの世界観は、典型的なポストアポカリプス。
この光景は高度文明の残滓みたいなものか。
「冒険心に火がつくぜ…!」
「今度にしろ」
「うっす」
今回の目的は、調査ミッションをクリアするための下準備。
寄り道は今度するさ。
しかし、具体的に何を準備するのか聞いてない。
滅多にプレイヤーが立ち寄らないというエリアに一体何が?
「ヘイズ、これから何を揃えに行くんだ?」
「まずは往復の脚、次にECM、それから最新のマップ情報だ」
打てば響く回答!
上手く言葉にできないが、プロフェッショナルって感じがいい。
「また輸送ヘリコプターをチャーターするのか?」
「引き受けてくれるNPCはいまいよ」
通路を横断する溝を跳び越し、背後へ振り向く。
「どうして引き受けてもらえないんです、師匠?」
NPCが引き受けてくれないとなれば、自走しかない。
タジマ粒子があれば動くティタンでフルマラソン──それはそれで楽しそう。
軽々と溝を越えた師匠は、その場で腕を組んで語る。
「エリア13へのフライトは片道切符……避けるのは当然だろう」
「なるほど」
ぽこじゃかリスポーンできるプレイヤーとは違うもんな。
命は大切にしましょう。
「だから、片道切符を買いたがる馬鹿を雇う」
前を歩くヘイズ曰く片道切符を買いたがる馬鹿。
なんだろう、親近感が湧くぜ。
「ティタン・フロントラインって輸送ヘリコプターも乗れるんだな」
「自由度の高さも売りだからな」
「少年、輸送ヘリコプターだけとは限らんぞ」
「ゑ?」
「今から会いに行く馬鹿は、とっておきだ」
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