ハーメルン
ありふれた職業で世界最強〜付与魔術師、七界の覇王になる〜
別に、アンタなんか!
ーーside:クラスメイト(勝気な少女)ーー
訓練場の中心で相対する要&ハジメペアと檜山大介率いる小悪党グループ。
訓練場には他のクラスメイト達や騎士団の兵士達が彼らから離れたところで立っており、要やハジメ達に不安そうな視線を向けていた。その中の一人の少女も周りと同様に要を見ていた。
「さあ、始めようぜ」
要はそう言うと腰の刀剣を抜いた。一週間ぐらい前から急に彼が持ち始めた武器。片刃のアラビアン風な剣、素人目でもかなり値を張りそうな代物を構えた。その姿は妙にさまになっていると思った。
「「「「........」」」」
「どうした、来ないのか?......なら、こっちから行くぞ!」
「ー錬成!ー」
要は刀剣を構えたまま檜山達に向かって駆け出した。それと同時に南雲は訓練場の地面を隆起され壁を作る。檜山達から南雲の姿が見えない様に体を隠せるぐらいの大きな壁だ。
向かってくる要に対して檜山が率先して攻撃を仕掛ける。
「ここに風撃を望むーー“風球”!!」
「ここに焼撃を望むーー“火球”!」
檜山の風属性魔法と中野の火属性魔法が要に向かって飛んでいく。だが要はそれを難なく躱し、あっさり檜山に近づき剣の間合いに入った。
「こ、ここに....!!」
「遅い」
咄嗟に魔法を繰り出そうと詠唱に入った檜山だったが、要の腹パンがメリメリと檜山の腹に突き刺さった。『グヘェッ!』と潰れたカエルの様な呻き声を上げると、腹を抑え数歩後退する檜山。
「くそがっ!こうなったら切り刻んでやる!!...あれ?」
檜山は悪態をつきながら腰の剣に手をかけた。だが、自分の得物である剣がどこにもないことに気づいた檜山は視線を彷徨わせ、目の前の要の手を見てさらに悪態をついた。
「返しやがれ!俺の剣!!」
「素直に返すかよ、ほーれ」
要は檜山から奪った剣を明後日の方向に投げ捨てた。それを見てさらに怒りのこもった目で要を睨んでいる。
そんな檜山を見かねて近藤が自身の得手である槍を構え、要に向かって突撃してくる。すぐに槍の間合いに到達した近藤は大上段からの大振りで要を叩きのめそうとしたのが、それをいとも容易いと言った様子でギリギリ当たらない程度の半身で躱される。おまけに振り下ろした槍が地面に到達した瞬間を狙って、要は槍の穂先を足で踏みつけた。
「なっ!?」
「こんな簡単に武器を足蹴にされて、お前ら本当に前衛職かよ」
「ぐっ、ふざけんな!」
おちょくられて怒った近藤が無理やり槍を要の足下から引き抜こうとする。しかしそれならちょうどいいと、要はにやりと口角を上げ、一歩踏み出した。だが、踏み出した先は地面ではなく槍の長い持ち手の部分。
「はぁッ!?ーーブフッッ!?」
驚いた様な声を出した近藤だったが、すぐに蹴り飛ばされた。ここにいるみんなも近藤と同じ様に驚き、目の前で起きた一連の流れに衝撃を受けただろう。何せ、要がまるで軽業師の様に近藤が持っている槍に乗ったと思ったら、近藤の顔面に向けて空中で回し蹴りを繰り出したのだから。繰り出した本人も驚いて、なんか嬉しそうにしている。
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/11
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク