ハーメルン
ありふれた職業で世界最強〜付与魔術師、七界の覇王になる〜
神の使徒 VS 付与魔術師
ノイントと名乗る銀翼の修道女。
はたから見ればそれは
紛
(
まご
)
う事なき神の御使に相応しい、神秘的で美しい姿だろう。
だが、天使もかくやと言うほどの女が今、無感情な殺意を孕んだ銀羽の雨を振り落としてくる。
とても視認できるものじゃないその速度に、要は内心焦りを覚えつつ必死で避けていた。視覚を強化し、肉体の防御力も強化した上で要の体を切り裂き、抉る銀羽。地面に激突した要に被弾しなかった羽達を見れば、それが地面を抉るほどの脅威の破壊力だと知り、今までに無いほど要の精神を揺るがしてくる。
(くそっ!!なんて破壊力だ。まともに受けただけでバッドエンド確定じゃねぇか!)
もちろん、これはゲームではないのでセーブポイントに戻ることもできない。いや、むしろそうあってくれた願いたいばかりだった要。
そして先程要達が乗っていた馬車を大きく揺らしたのおそらくこの攻撃なのだろうと要は予想し、他にもこれ以上の攻撃手段があることも考慮しつつ思考を巡らせる。
(何せ、あの手に持ってる大剣。あれも相当やばい代物だろ。ーーーくそっ!何か打開策を.....!!)
すると今度は肉を貪っていた魔物達が要に襲いかかってきた。人の肉に味を占めたのか、それとも単に腹をすかしているの知らないが、
涎
(
よだれ
)
を垂らしながら要に飛びかかってくる。
だが、そう簡単にはやられない。
飛びかかってきた狼型の魔物達を強化した錫杖と刀剣で殴り殺し、斬り殺し、刺し殺す。要の手に力が入る。それほど強い魔物ではない。だが、イヴァンを貪り食ったこの魔物達に明確な怒りの殺意が要に力を湧き上がらせた。
「やはりこの程度の魔物では仕留めることはできませんか」
瞬間、また銀羽の乱れ撃ちが要を襲う。一瞬の遅れで肩や膝裏、脇腹、太腿が抉られる。だが、ダメージを負いながら横っ飛びで更なる被弾を回避する要。要に襲いかかっていた魔物達も今の攻撃でかなりの数がミンチになった。
そしてふらふらな体に力を滾らせ、しっかりと見開いた瞳で要はノイントを見上げる。
「ハァ、ハァ、ハァ.......」
「意外にしぶといですね、要 進。ですがそれ程の傷を負えば、もはや立つのがやっとでしょう」
「そうでもないさ....俺はまだ諦めてないし、腕も足もまだ動く.....なら戦える!俺にあきらめないことの大切さを教えてくれた憧れ達、憧れをくれた日々を無駄にするわけにはいかないからなァ!」
そう、今まで生きてきた中で、バスケの次に熱中した漫画やアニメ、ゲームで学んだのは何も楽しむコツばかりではない。現実にはない世界で必死に生き描かれる彼らの生き様を学んだのだ。
「だからこそ俺ァ.....絶対に生き延びてみせる!」
「無駄な足掻きです、今度こそ仕留めます」
要の覚悟が吼える。そしてノイントの機械的な声と言葉と同時に、再び銀羽の雨が降り注ぐ、それもかなりの広範囲で。
被弾は必至、なら挑戦するしかない。
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