ハーメルン
ファンタジー学園ゲームに転生したので金魚のフンになります
転生。そして手に職を。

 突然目が見えなくなった、でもそれは僕が死んだからだった。

 僕は死んだ、けど意識はある、魂だけが生きていた。

 それを見かねた神様が僕を転生させてくれた。

 世界の名前は【フォルメタシア】、剣と魔法と冒険とダンジョンが待ち受ける世界だった。

【フォルメタシア】と聞いて僕は一つ思い出すことがある、『アシタナイト』と言うゲーム。

 ファンタジーと学園モノを合わせた今となってはありきたりのゲームだった、ヒロインが複数いてそれぞれにルートがあって好感度を稼いだり逆に下げてどのルートフラグも潰して冒険一筋だったり、遊び方に幅が有って楽しかった思い出が残っている。

 中でもお気に入りの遊び方があって、ヒロインの好感度を全員分最大にしてなおかつどのルートにも入らないことでフラグを不成立にして、その上でメインヒロインではないモブの女性キャラをパーティに入れた上で好感度を上げてゲームクリアする。そうすると汎用エンディングでこの世で一番かわいいブライダルモブ子ちゃんが拝めるのだ。

 僕はそれが好きだった。全モブ子ちゃんのパターンを見るくらいには好きだった。
 メインヒロインは確かに皆がかわいいし、賢くて、強くて、美しい、でも僕はそんな彼女等よりも誰にでもある輝きを持ったモブ子が好きだった。

 王道よりも脇道に逸れるのが僕のサガらしい。

 それでなんでこんな話をしたかというとね、僕の転生した【フォルメタシア】と言う世界がそっくりそのまま『アシタナイト』と同じ世界史を持っているってこと、つまりはゲームと同じ世界に来てしまった訳ね。

 これには僕は大喜び、したのは束の間で気分がずーんと重たくなった。

 説明するとね、『アシタナイト』のメインストーリーは学園での生活と世界各所の問題解決に焦点を当てているのであります、そしてルートによっては多少ブレるのだがストーリーの中盤にはかつて神と神に手を貸した英雄達に封印されていた『魔界王イビル』が立ちはだかる、地上世界を魔界にしようと魔族を率いて世界を一旦征服するが、最終盤には主人公によって全部ひっくり返されて清々しく散っていった。

 そうなの、この世界何気にピンチなの、世界征服とかやめてー! 

 そこでこの危機を安全に乗り越える為どうしたらいいのか、僕は三日三晩考えた。

 そしてたどり着いた答えは『主人公』の金魚のフンになることだ。要は強いやつの背中に隠れよう、そういうことなのだ。

 主人公の金魚のフンになるべく僕も学園へ行こう、出来れば同学年だと嬉しい。

 現在僕は十歳、学園の入学資格は十五歳以上であり入学テストをクリアすること。最短で五年、なるべく早く学園へ行きたいがコレばっかりは無理が通らない。この五年で身に着けられるだけの技術知識を仕入れて学園で主人公に取り入る。そして魔界王を倒してもらうんだ

 さぁ頑張ろう。明日から。



 ◆



 決意新たに翌朝。
 致命的な部分を忘れていた、入学するのは構わないが学園生活を満足に過ごす資金が無い事が判明した。

 僕の転生した世界の家族はいわゆる平民でお金を持っていない、その日を暮らすのが精一杯だ。流石にそこから捻出することは出来ないので一つ考えた。

『錬魔術(れんまじゅつ)』を学ぼう。と

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