ハーメルン
ファンタジー学園ゲームに転生したので金魚のフンになります
出会い。そして邂逅。

 メルディエル先輩に学園を詳しく案内してもらい、大変有意義な時間を過ごすことができた。

 手元に案内図があるとは言えやはり詳しい人間の説明がある方が頭に入るよ、情報は。

 学園の周囲に留まらず学園の中も案内してくれた、流石に校舎の中まで入れなかったが【マスターナンバー】序列一位の凄まじい人望と実力が垣間見る事が出来て、これが一番の収穫になった。

 歩けば人混みが割れ、止まれば人だかりが作られ、ポツリと呟けば用意され、手を振ったらキレイに片付く。

 彼女のカリスマ性が他の生徒をまるで軍隊のように操ってしまっている、このカリスマ性に抗う事ができるのは欲が無い人間かモンスターだけだろう。

 今は人が居ない校舎の中庭に存在する噴水広場で軽く軽食をつまんでいる、メルディエル先輩がお気に入りのチョコレートをくれたので美味しく味わっているよ、これマジうまい。



「おいしー、お高いんでしょう?」

「そうだね~、君ならいくらで売る?」


 ほほう? 僕の目利き力を試してるのかな? 
 そうですね、この香り、この味、このサイズ、引っくるめて


「700フォル」

「へぇ? 高いんじゃない?」

「先輩の手作りに値段をつけるのでどうしても付加価値が高く付くのでね」

「バレるの早かった! 流石に商人は騙せないか〜」

「ちなみに先輩の付加価値を引いたら70フォルね」

「うーんそれでも市販より高いねぇ」


 フォルメタシアはお菓子は一通り揃い現代人も満足するだろう、ただしそのどれもが割高で高級嗜好品の扱いを受けている。
 メルディエル先輩のチョコレートは良い出来なので平均価格より高くとも充分売れる。錬魔術師が言うんだから大丈夫! 

 そうそう話していると噴水広場に荷物一杯のランユンと少し強張った表情でクーネさんが入ってきた。
 学園自体は簡単な手続きで入れるが、そんな血相変えてまで来なくてもいいのに。周りの生徒ビビってます。


「エ リ ン さぁ~ん? 何で何も言わないで居なくなるんですか! 心配して街中駆けずり回ったんですよ!」

「そうじゃそうじゃ(とは言いつつしっかり買い物しておったがな)」

「あーごめんね、二人の邪魔したら悪いと思いまして、以後気を付けます(コウテン様ご苦労さまです)」

「うむ」


 契約者特有の念話で他人には聞かせられないひそひそ話も出来てしまうんですねぇ、えぇ。


「あれ? さっきの人はどこに?」

「ワシらが来たくらいからどこかへ行ったぞ、あの脚運びは少し出来るようじゃのう」

「あらら先輩ってそういうタイプなのか。さっきのはメルディエル・コーンズウェル、僕らの未来の先輩ですよ」

「ひえ~! コーンズウェル様ぁ?! お、おおお、おお恐れ多いお方ですっ!」


 マスターナンバーを目指すクーネさんからしたら序列一位なんて憧れの的だよね、見た目からしたら頼れるお姉さんだけどどうせ主人公になびくか弱い乙女ぞ(ド偏見)

 このあとクーネさんからメルディエル先輩についてあれやこれや問いただされて見学どころではなかったが、まぁ楽しい一日になったと思う。

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