ハーメルン
ファンタジー学園ゲームに転生したので金魚のフンになります
少女。そして両親。
「エリンさん、私の名前は……その、え~っと【クーネ】です!」
「はぁ……そうですか、この商品はいかがです?」
「あーっそのちが、そうじゃないんですぅ!」
何が? 分からない……
このクーネさんと言う方の素顔はフードを被られていて分かりませんが年齢は近いような気がいたします。
なんだろうこの子目的に一生懸命でドジしちゃうタイプだと僕のゲーミングセンサーが言っている、ここは丁寧に話を聞く事にしよう。
「クーネさん要件はしっかり伺いますから、まずはこちらへお座りください」
指パッチンでテーブル一つと椅子を2つが逆再生するように組み上がると彼女は目を光らせて驚いていた。
錬魔術の応用、分解して収納しやすくコンパクトにしておいた素材を、合成で使う時だけ形にする。素材自体に術式円陣を刻み、椅子なら椅子、テーブルならテーブルとして素材を一つのグループとする事でこの運用が可能になった。魔術って楽しいね。
ただしこの方法は強度に難アリ、戦闘用に使うならしっかりと術式円陣を描いた上で合成したほうがいい。普段使いならこれで問題ないけどね。
「ほあ……なんの魔術なんですか!?」
「なにって錬魔術ですが?」
「ええっ!?」
錬魔術一つに驚きすぎだよ? と言いたい所だけど、本当に世間的な評価が低い低い低すぎるよ錬魔術。
確かに他の魔術と比べて見栄えは良くないけど! 物を作るだけの地味な魔術だけど! なんなら魔術使わなくても出来る事ばっかりだけど! 使いこなしたら便利なんだぞ!
ともあれ腰を落ち着けて話が出来る、魔術が唱えられなくなる『沈黙』の効果を持つ『サイレントグラス』を煮出して水で薄めたハーブティーを出しておく。
おしゃべりな奴に飲ませると途端に喋らなくなるぞ! 社交界人に人気です。
今回は彼女を冷静にするために使いました。
「落ち着いた?」
「すいません、お気遣い感謝しますぅ」
「早速ですが、ここの商品ではなく私に要件があると思っていいですね?」
「はい……魔術屋で錬魔術師あるエリン・サーディブルさん個人に依頼したいのです」
「僕に? ここの商品では対応出来ない問題なんですね?」
「そうなんです」
──私の両親を助けてください。
◆
「……クーネ、お前は一人で生きられる」
「私達のことは気にしないで、ゴホッゴホッ、やりたいことをやりなさいね?」
パパ、ママ、二人が倒れたのは最近の事だった。
私の家は少し裕福で他の人より良い暮らしをしている、それはパパとママが頑張ったからなのは昔から分かっていた。
私もパパのように強くてママのように賢い人になりたいと毎日勉強を積み重ねて、やっと『学園』への道が見えてきた。来年には入学してパパとママに喜んでもらえるって思ってた。
そんな時二人が倒れた。なんてことない風邪だと街の医者は言ったけど、薬を飲んでも治らなくて二週間も寝込んでいる、次第に二人は痩せて細くなっていくし声も段々弱々しくなるばかり。
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