ハーメルン
ファンタジー学園ゲームに転生したので金魚のフンになります
教え子。そして突撃ドラゴン娘。
選ばれし金魚のフンことエリン・サーディブルは今日も順調に商売繁盛と相成りましてございます。
これも日頃のご愛願の賜物でございます、つきましてはこの感謝をお値段に反映させていただき、皆様へのご恩返しとさせていただきます。
「『「『俺が/私が/わしが/ワイが!!!』」』」
──このお買得品をいただく!
陳列棚にある魔具や、薬草類、家庭の便利アイテムとか全部に半額シールを貼り付けセールを開催してみた。
結果は見ての通りに荒れ狂う猛牛の群れの如き争奪戦、群れを成して略奪を行うモンスターも真っ青な光景だった。
──来年も開催しよ。
気分は餌をやる飼い主と同じだった。
「エリンさーん! 助けてぇ〜もみくちゃあ〜!」
「はいはーい」
クーネさんはあれ以来毎日来るようになった、フードは止めて今度はよく見る魔女帽と全身をすっぽり覆う厚めのローブ、どちらも白地に金の刺繍が入っている。モブNPCの衣装なのだがやはりシンプルなかわいさこそ究極。
意外とかわいい素朴な顔立ちだった、ちょっとキュンってなったのは内緒にしてね。
「エリンさん今日もお願いします」
「杖は?」
「……はっ!」
「今気付きましたって顔だね、一体何をしに来たのかね?」
「戻って取ってきますぅぅっ!」
全くクーネはおっちょこちょいで困る、そこがいい(モブ推しの極み)
毎日来るようになったが別に喋りに来ている訳では無い、いや一日喋って終わる事あるけどそれは稀で、僕の知る限りの錬魔術の知識を勉強会と称して教えているのだ。
彼女の強い要望があって開いているが現在生徒はクーネさん一人だけ。
生徒と先生が二人きり、夕暮れの店内、近付く吐息と吐息がお互いに意識させ次第に二人は男女の中へ──
なるわけ無いだろ。
クーネさんのご両親ってよくよく調べたらとんでもねぇ血筋だった、なんと王族の分家で近々貴族として地位が復活するとか。
クーネさんのフルネームは【クーネ・キングガード】代々キングガード家は王族の守護を司る一族であり建国の英雄【アルカ】の弟【マディア】を祖とする血統で王家とは兄弟姉妹も同然らしい。
一体どんな事情で落ちぶれていたのかは僕の
情報網
(
主婦の噂
)
では調べられなかったが、近々復帰するとなればその権力は計り知れないものがある。
だから何かの間違いでクーネさんに手を出せば身分が違いすぎる僕の首がトリプルアクセルでキレイに飛んでいく、ギロチン恐い。
「ふぅ、ふぅ、戻りました〜!」
「では始めますか」
今日もクーネさんと僕だけの錬魔術の講義が始まろうとしていた。
「ここがエリンって小童の店かぁっ!」
──メギャン!
店のドアが蹴破られ派手に吹っ飛び僕が下敷きになってしまった、痛い。
「エリンさーん!?」
「痛い……痛いよぉ、畜生誰だこんなことしやがるやつは!」
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