最終回 この物語は…
この物語は現実である。
というか
世の中の大抵はつまらない現実である。
直面して
諦観して
都合の良い部分だけを皆で信じる
ならば都合の良い部分だけを見てほしいのが
アイドルマネージャーというものだ
この現実において
真実は足枷だ
「なぁ、モアイ像。答えてくれ。俺の人生はどうしてこんな事になったんだ?」
アイドルグループB小町の"元"絶対的エース
不動のセンター究極美少女の21歳
───アイ
「人生の話は重過ぎる?なら女のタイプでも話そうぜ。俺のタイプはカミキの野郎が所属していた劇団にいる黒川あかねって子。ロリコン?いや成長したら玲瓏で清楚な女の子になりそうだなーって」
「何やってんだろうな、俺。まぁ、幸いここはイースター島だ。奴らとてそう簡単に連れ戻せまい」
奴の元マネージャーだった俺は絶賛逃避生活中だった。
「なぁ、モアイ…モアイ?!」
突然、モアイ像の頭が対物ライフルで吹っ飛ばされた。
「ぎゃぁぁぁ!またスナイパーか。しかも今度は対物ライフルぅ?!あんなん食らったら流石の俺でもミンチだわ!俺は漫画の世界の住人じゃねえんだぞ」
慌てて丘に隠れて射線を切る。流石に一度撃たれたら俺だって銃器について多少は勉強するのだ。
…日本で撃たれる経験をする方が可笑しいんだけどなぁ
「マジで、マジでふざけんな。日本に帰ったら大人の尊厳を破壊するような介護をされるし、海外に逃げたらすぐコレだよ」
ハンドガン、ショットガン、スナイパーライフルに機関銃、そろそろ突き付けられた事のある銃器の種類を覚えるのも億劫になって来た。
幸い弾自体はあのクソアイドルを庇った一回しか当たった事はない。
「この物語はフィクションですって言ってくれ、誰か、頼むから!」
現実は非情である。
▲
このような状況になった理由を説明する為には時を一年程遡る必要がある。
それは病院のベッドで目覚めた直後の事だった。
「正宗君!正宗君!正宗君!」
ああ、今更だが俺の名前は、聖正宗
今から墓石にこの名前を刻まれ、核爆弾と一緒に埋葬される男である。
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