リザレクションネーム
あるファンの証言───。
「あの事件についてのファンの意見?そりゃ、報道が出た瞬間はむかつきましたよ。アイドルなのに何やってんだ、裏切ったなって」
「でも、連日追いかけ回されて報道された相手の男のぶっ飛び具合を見てるとだんだん諦め、というか人間的に彼女を何とか出来るのはコイツしかいないんじゃないかと思えてきて…」
「アイドルのスキャンダルで相手の男が社会的に許されるなんて前代未聞ですよ。いま世論は祝福ムード一色ですし…」
「何より、二人のやりとりが面白すぎる。何で男の方が逃げてるんだよ…」
▲
「男の子が『愛久愛海』、女の子が『瑠美衣』っと…これでアクアマリンとルビーってのはどう」
ある日、役所に提出する名前を考えていたアイドルモドキがふとそんな胡乱な事を言い出した。
「テメェ正気か?コイツらの人生、生後一ヶ月地点で詰んだ…」
「えー、何がダメなのさー」
「何もかもだ、この無教養アイドル。まぁ俺は親でも何でもないから最終決定に口出しする権利はないが、これは流石に…」
「ふーん、心配してくれるんだぁ」
「お前の頭の心配なら日常的にしてるぞ。出力される思考が全て破滅的すぎて心配しとかないと俺の人生が破滅するからな」
「じゃあ、君ならどんな名前をつけるのさ」
「読める漢字を使った名前、恥ずかしくない名前」
「じゃあこの名前で良くない?読めるし恥ずかしくないよ?」
「『海』とかいて『マリン』と読めるのは世界中で後にも先にもお前だけだ。それに『愛』が2回も使われてるのがヤバすぎる。なんかもう言語化出来ないくらいゾワゾワする」
「でもそんな事言ったらマネージャーの名前の方がヤバくない?その名前でその性格になっちゃうとか意味不明過ぎるんだけど」
「ぎゃぁぁぁ!俺が自分の中で唯一嫌いな部分を指摘するんじゃぁない!」
「「「ぷっ」」」
「何で生後一ヶ月の赤子にまで笑われなきゃいかんのだ。こんのクソガキども…貴様らは分からんだろうがここで俺がアイの制御を手放したらお前たちの名前は晴れて『愛久愛海』と『瑠美衣』だ。その辺の事をよk、何だ、男の方が土下座したぞ」
「えっ、私がつけた名前そんなに嫌だったの?!」
「がはは、コイツ見る目あるな!よし、気分がいいからお前の名前は俺が付けてやろう。アイ、いいか?」
「えっ、マネージャーが名付け親になってくれるの?大歓迎だよ!」
「ふむ…よし、今日からお前の名前は吾郎だ!」
「「は?」」
「熊の餌になったあいつも推しの子に転生させておけば浮かばれるに違いない。たとえそれが名前だけだったとしてもな。がはは!」
「センセの名前か。確かにお世話になったしいいかも。じゃあ決定!」
───命名 「吾郎」「瑠美衣」
▲
「今日からお前の名前は吾郎だ!」
推しの子に転生したと思ったら前世と同じ名前をつけられた件について。
コイツは前々から色々おかしいと思っていたがまさか直感まで頭おかしいとは思わなかった。
まぁ、双子の片割れと違ってキラキラネームを回避できただけまだ感謝しといた方が良いのだろうか?
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