第十二話 vsストライク 束の間の平穏
ヒワダタウンジムリーダーであるツクシは虫タイプの専門家。彼が率いている手持ちポケモンも虫タイプばかりだ。
虫タイプといえば非常に個性の強いポケモン勢が揃っているものの、そこはさすがはジムリーダー。彼に育てられたポケモン達は、それぞれの強さを思う存分に発揮できるように鍛え上げられている。たとえ苦手なタイプのポケモンが相手であろうとも対抗できるほどに。たとえ、指示を出すトレーナーがいなくても、己が意思で相手を迎え撃てるほどに。
だからこそ、ジムリーダー不在だからと言って侮って挑むのは何も知らない初心者であろう。指示を出すジムリーダーがいなくても、そこにいるのはその街を代表する強さを持ったポケモン達なのだから。並大抵の者が挑もうとも、有無を言わさず制圧されてしまうだろう。
しかし、この度ヒワダジムに挑むはオーキド博士にも認められた図鑑所有者・シュン。並大抵な実力であるはずがない……
「ラプラス、“みずでっぽう”!」
バタフリーの“かぜおこし”により、バトルフィールド全体が強力な風が吹き荒れている。相手への攻撃と同時に、自らを守る風の防御壁となっている。
しかしその風の中でもラプラスは体勢を立て直し、シュンの指示に従って口から勢いよく水の砲撃を放つ。水はそのまま風の膜を突き破り、バタフリーに直撃する。攻撃を受け、空中で仰け反ってしまい体勢を立て直すのも容易ではない。
「相手に反撃の隙を与えるな、“れいとうビーム”だ!」
バタフリーの攻撃がやんだ事により、バトルフィールドに吹き荒れていた風もやんでいる。これでラプラスを妨げるものはない。
そのまま休む暇を与えず、ラプラスは“れいとうビーム”を放った。氷のビームは標的に向かって一直線に進み、バタフリーの羽を貫き、直撃した周囲の部分を凍らせる。
弱点をつかれたばかりか、羽の自由が利かなくなりバタフリーはバランスを乱して地面へと落ちる。
しばらく身悶えしていたが、立ち上がることはできずにそのまま倒れてしまった。
「バタフリー、戦闘不能! ラプラスの勝ち!」
「よしっ、よくやったラプラス!」
審判がバタフリーの状態を確認し、所持していた赤色の旗をシュン達の方向に上げる。
まずは一勝目。しかも、ラプラス一体で初戦を制することができた。シュン達には交代も許されている上に残りポケモンは2対3。この勝利は大きい。シュンがラプラスに声をかけると、ラプラスもその声に応えるように甲高い勝利の雄たけびをあげた。
勝利にシュン達が歓喜している中、ジムトレーナーが倒れたバタフリーをボールへと戻す。そのままフィールド外に出ると、今度はスピアーが自分の意志でバトルフィールドへと身を躍らせた。
(2体目はスピアーか。虫タイプと毒タイプをあわせもった攻撃型。
あの強力な両腕の槍には気をつけなきゃならない。が、ラプラスではあまりフットワークがよくない。となると……)
「よし、戻れラプラス。よく戦ってくれた。……行ってこい、ピジョン!」
すばやく相手のポケモンの特徴を解析すると、シュンは先ほどの戦いで活躍したラプラスをボールへ戻す。一言感謝の言葉を送るとボールを腰に装着し、代わりにピジョンをフィールドに繰り出した。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/6
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク