ハーメルン
心が織りなす仮面の軌跡(閃の軌跡×ペルソナ)
18話「異聞録、謎の3人組」

 人の気配のない街中、ライ達は何一つ変化のない写真の様な空間を一歩一歩進んでいた。

 サラ含めて12人の探索隊は、白線が引かれた広い車道の真ん中を歩く。
 車が一台も走っていない以上、ここが最も周囲の警戒をしやすいからだ。
 アスファルトの道の両側には太陽を反射する窓ガラスにコンクリート製の巨大な壁々。このビルに囲まれた空間にシャドウが隠れられる場所は山ほどある。

 そんな環境下でサラは、周囲に気を配りながらも小冊子の内容を読み解いていた。
 両脇には不遜な態度を維持しているユーシスと委員長のエマが歩いており、サラの調査に参加していた。

「──巌戸台港区。パンフレットによると、日本という国にある都市、巌戸台の沿岸区画みたいね。その海上に桐条グループっていう企業が作った人工の島、それが私達のいる辰巳ポートアイランドだと書かれているわ」
「日本だと? 東方の国の様だが、聞き覚えが無いな」
「でも相当な規模の国よ。印刷された巌戸台全体の地図を見る限り、帝都ヘイムダルと同等以上の大きさじゃないかしら。……しかも、そんな大きさなのに首都ではなく一都市。まったく、どれくらいの国なのか想像もつかないわ」
「でも、帝都は大陸でも最大級の都市ですよね。そんな国家があるのなら噂になってるんじゃないですか?」
「少なくとも、私達の住むゼムリア大陸の近くには無いでしょうね。そもそも実在するかどうかも怪しいものよ。人工の島に大量の高層建築を建てるなんて、まるで近未来の世界だわ。……いや、もしくは大崩壊前、高度な技術を持ってたとされる古代文明の可能性も──」

 サラ達はこの日本という国に対して様々な推測を打ち立てる。
 しかし、現状では判断材料がパンフレットしか無いため、考察が推測の域を出る事は無さそうだった。

 ──そんな彼らを後ろから眺めながら、ライは集団の後方をぼんやりと歩く。
 本来ならライも彼らの推理に参加していたのだが、今のライにそんな余裕はなかった。

 心が妙にざわつく。

 そんな不思議な感覚に襲われていたのだ。

 まるで何か重大な事を忘れているかの様な不安を煽る感覚。
 それはしだいに頭痛へと変わっていく。
 入学初日、医務室でライを襲った頭痛と似た様な痛みだ。
 何かに呼応するかの如く、少しずつ体が痛覚に侵されていた。

(何だ、この痛みは……)

「……ねぇ、辛そうだけ……丈夫…………?」

 エリオットが心配そうに声をかけてくる。だが、その声も何故か遠くに聞こえる。
 そして次第に視界もぼやけていき、ついに意識が暗転した。

 ……

 …………

 意識が朦朧とする。夢でも見ているかの様な感覚だ。
 光に満ちた何も無い真っ白な空間。
 その中で、聞き覚えのない、けれども懐かしさを感じる声が聞こえて来た。

『うっす”頼城”、昨日ぶり!』
『”友原"か。今日も元気そうだな』

 挨拶を交わしている2人の声、どうやら両方とも男性の様だ。

『そう言うお前はいっつもその顔だな。せっかく名高い月光館学園に入学出来たんだから、もっと楽しそうにしようぜ?』
『周りを見ろ。お前が浮かれているだけだ』
『……あー、オレはオレの道を行ってるのさ』

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