18話「異聞録、謎の3人組」
しまったという顔をする友原に向けて、頼城が呆れた様に呟く。
『友原、また地雷を踏んだか』
『またって何だよ! 月光館学園に入ってからまだ4回しか踏んでないっつーの!』
『入学してからまだ1ヶ月しか経ってないぞ』
1ヶ月で4回、だいたい週に1回のペースである。
とんでもない事実に気づいた友原が、この世の終わりとも言える表情になった。
『…………ふふっ、あはははは!』
そんな2人の漫才を聞いて、いじけていた葵が笑い出した。
もう、その顔に暗さなど残ってはいない。
その事を確認した頼城と友原は、お互いの顔を見合わせて1つの方針を確認しあう。
『……そんじゃ、この荷物を月光館学園まで運びますか』
『了解だ』
『ってええっ!? そんな長い距離は頼めないって!』
『もとより1人じゃ運べないだろ? 俺たち2人に任せとけって』
『ああ、これくらい朝飯前だ』
『えっマジ? なら頼城これ運んでくれね?』
『……夕食前だ』
そうして3人は荷物を持ち上げ、談笑しながらポロニアンモールを去って行った。
◆◆◆
──3人組が移動した事で、周囲にいた影達も消えた。
これで原因はあれだったのが確定したのだが、ライ達の緊迫感までも同時に消えてしまっていたため誰も突っ込まない。
「……えと、なんだか楽しそうだったね」
「ああ、毒気が抜かれたという気分だ。話す内容も我らとそう変わりなかったしな」
「なんか普通……」
「ボクも、あの影なら怖くないよ」
散々な言われようである。
だがまあ、彼らの会話でリィン達の緊張がほぐれたのなら、それはそれで良いだろう。
今の皆なら、どんな異常が襲いかかって来ても冷静に状況を判断出来そうだ。
「それにしても、あれは何だったのかしら」
「影の世界の住人って言うより、過去の映像を見ているみたいでしたね」
「俺達はあれを一方的に見る事が出来るものの、実際に干渉する事は不可能。なれば、その線が濃厚だろうな」
「う〜ん、でもまだ確証は掴めないわねぇ。ひとまず、話に出てた"月光館学園”って場所に行ってみましょうか」
サラがパンフレットの地図を片手にVII組を誘導する。
旧校舎内の街で出会った謎の3人組。彼らがここの、ひいてはシャドウに関わってくる可能性は高いだろう。
ライ達はポロニアンモールを離れ、3人組の目的地である月光館学園に向かっていった。
……その中で1人、エリオットが歩きながら悩み込む。
「う〜ん、彼らの中の1人。あの声近くで聞いたことがあるような……」
頭に引っかかる何かがあるものの、声のノイズが酷かったため、エリオットはなかなか結びつけることが出来ない。
「……ま、今はいっか」
結局、彼は答えを出すことを諦めたのだった。
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