ハーメルン
覚者と世界
不安




 今我がクラスで大いに賑わっているのは新しいクラスメイトのゆっきーの話題、謎が謎を呼び「先生の隠し子」だの「実は先生のめおと」など高畑先生関連の尾ひれが付いているがこの際どうだっていい。普段は我関せずを地でいっているちうちゃんが珍しくゆっきーにはお節介を焼いているようだし、関心は尽きない。

 一応前に英語を喋っているのを聞いたからそっちの言葉で軽い質問を考えていたけどこっちの言葉も喋れるのには驚いた。軽い質問を早口で自己紹介の時にしたけど割と返してくれたし、情報を聞き出すのは楽そうでよかったよ。でもやっぱり馴染みのない言葉もあるのかよく首を傾げていたっけ。

 普段の行動をカメラに写すべくゆっきーを追ってみれば酷く落ち込んだ様子だった。もう世界の終わりーのような顔で。それでも泣いていないのはゆっきーは強い子なんだって思えるほどだけどそれは関心できない。そうなっているってことはうちのクラスに馴染めていないって表れで、あの賑やかなクラスで一人落ち込んでいるのは酷なことだから。
 流石の私でもあれに踏み込むのは容易ではなかったね。うちのクラスでイジメみたいなことはされてないはずだし、私の問答でああなったようにも思えない。記事にできることじゃないけどとても気になるのは私の性分か、意を決して踏み込もうと足を踏み出すがそれよりも早く現れた人影に私は回れ右をした。即座に木の陰に隠れて様子を伺う。現れた人影はちうちゃんだった。私に気付く様子もなかったのでこのまま隠れて見ておこう。ちうちゃんで無理なら私が行く。頑張れ! とか心の中でエールを送りつつ。

 話し声が充分に聞こえなかったけど内容としては仲直りって事かな? それも相手はたつみーと桜咲さん。うちのクラスに来る前に知り合っていたことにも驚いたけどあの二人と喧嘩(?)をしたことに驚きだった。二人のことは知ってることのほうが少ないけどそこまで悪い人とも思えない。けどゆっきーの落ち込み様も無視できるほどのものでもない。でも私が分かることと言えば彼女たちは全員不器用そうなことか、ゆっきーとは知り合って間もないけれど型にはまった行動を取る傾向(慣れない地だからしょうがないけど)にあるし、桜咲さんは言わずもがな、たつみーの方は妙に大人っぽくて口数も多くないから勘違いからの行き違いが多かったりする。そういう態度だとゆっきーは勘違いしてああなってるんだろう……。
 これで恋バナとかなら喜んで突っ込むんだけどそういう内容ならやっぱりやめとこう。ここは私よりもちうちゃんに任せたほうが良さそうだ。二人の様子を盗み見てとりあえずそこから離れる事にした。今の状態のちうちゃんに見つかったら恐いし。
 何をするかわからないけど極力手伝いたいなぁ……。

 そうして離れた私は早速情報を求めた。言わずもがな行動力は取り柄だったので早速行動することにする。
 とは言ってもあの二人のガードは硬いしちうちゃん側に聞くのもこんがらがっちゃう……クラスに話題も出てないから目撃者がいるとは思えない。おや、早速積んでる?
 でも当てはあるんだよねぇ、暇そうなら無理やりとはいけないにしても話してみよう。

 という訳で私が来たのは職員室。一応居ることを確認してから入っていく。高畑って苗字なんだから関係者だよね!
 高畑先生に話したいことがあると言って別室に連れてってもらってから話し出す。

「最近、ゆっきーの調子が悪いんですけど何か知りませんかね?」

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