達成
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「あぁぁぁぅぅぅぅ」
自室に帰りベッドに身を投げ頭を枕に埋める。漏れ出す言葉は意味不明のもの。そもそも意味はない、吐き出したい、いろいろと。ぱたぱたと足を動かすがそれも意味はない。
言いたい事を言ってチサメに任せっきりで逃げ帰ったとか私は何がしたいんだろうか。ここまで弱かった覚えはない。あの時だって逃げずに戦えたのに何だろうこの為体は。そりゃあ一度は逃げ出した、だけど今回は大丈夫だと思ったのに。
チャチャゼロに手伝ってもらったのにこんな成果しかあげられないなんて……なんて言えばいいんだ。
後半なんて声が掠れて出ていたかも危うい。チサメがせっかく手伝ってくれたのに……。
ごろごろとベッドの上を寝転がり唸る。私は何をしているのだろうかと思うがやらねば気がすまない。気がすむわけないけど。
そうやっていれば呼び鈴が鳴った。……誰だろう? チサメかなぁ。
重い足取りで受話器をとってみればセツナだった。それと声が遠いけどマナの声も。
「伝えたいことがあります」というセツナの力強い言葉を受話器越しだったが受けた。
ちょっと待ってと慌てて返す。心構え云々よりも顔を洗わねば……いや先に部屋にあがってもらわないと……というか逃げねば……いやそれはおかしいか。悩んでいて行動する時間が過ぎてしまった、勿体無い。とりあえず目をこすって二人を招き入れる。歓迎会に二人はいなかったはずだけど何で私の家を知ってるんだろう? 気になって聞いてみればチサメから聞いたんだってさ。
居間に案内してから向き合うが居心地が悪くて思わず視線を外す。いや、会いたかったんだけど今は目が腫れているから……。
「あの――」
口を開くがマナが手を前につき出して私を制する。そして息を吐くように言葉を放った。
「ふぅ……そうか。――刹那が言ってくれた通りだった。どうやら私は酷いことをしていたようだ」
「すいません高畑さん、いきなり訪れて。でもあの時のことは貴女が謝ることはないんです。……あの時はいきなり武器を構えるような真似をして申し訳ありませんでした」
「私からも謝るよ。大事に至らずともあれだけのことをして口だけの謝罪にどれほどの効果があるかわからないがそれでも謝る、すまなかった」
「あ、やっ、わ、私も貴女たちに警戒させてごめんなさい」
二人が頭を下げてくれたが私も釣られて頭を下げる。……三者三様に頭を下げる姿はなかなかに混乱すると思う。私は混乱した。
「いや、ここで君が頭を下げては本末転倒なのだけれど……」
「そう、なの……?」
「私たちは君の間違いを正しに来たんだ。あの時のことは私たちの方が非があった、だから謝ったんだ」
「私たちを警戒させたことを恥じる必要はないんです。私を助けてくれたにも関わらず私は貴女を敵視した。非は完全にこちらにあるんです」
「それでも私は謝りたい」
「いや、ですから……」
悪いことをしたから謝る。だけど私は悪くない? でも私は悪いと思ってる……? あれ、なんかおかしい。そう思ってから口は自然と動く、そもそもチサメも似たようなことを言っていた節がある。チサメ以外からもだ。
「……私もしかして余計なことをしてた?」
「いや、余計とは言わないさ。だけど君が泣いた事は私たちが君を悲しませた事と同意義で、だからこそ私たちはそれを謝りたかったんだ」
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