ハーメルン
真剣で猟犬に恋しなさい!!
『夢については持ちつ持たれつ』

危ない可能性を感じた以上は回避させるべきだろう。

「その通りだぞ、我が友トーマよ」

英雄もそういう俺の言葉に賛成する。
危ないものに触れない事や回避する事の大事さは英雄も知っているしな。

「大丈夫ですよ、父の部屋の本か資料を見るだけですから」

そう言って俺と英雄を無視して院長へと向かったトーマ。
俺はなんだかこのまま行かせていいものかと思いトーマを追いかけようとする。

「心配だな……ちょっと着いて行ってくる」
「うむ、我も心配だが此処に居ないユキと準を探してからそちらの方に向かわせてもらう、スマンがその間トーマを頼んだぞ、キョーヤ」

英雄の言葉を受けて俺はトーマを追いかける、院長室まで追いつくには結構な距離だったし、ここの構造を知っているトーマと違う為、俺がトーマに追いついたのは院長室にトーマが入る手前であった。

「キョーヤ、わざわざ追いかけてきたんですか?」

「ああ、その通りだ、トーマ、探しものならこんな所にもあったぞ」

「ありがとうございます、キョーヤ、しかしそれはただの医学書ですよ 、今見つけたこのファイルにどんな事が書いてあるんでしょうか?」

そう言ってファイルを開けてパラパラとめくるトーマ。
すると少しずつトーマの顔が青ざめる。
一体何が書かれていたのか?
気になって取り落とした拍子に俺は拾い上げて中身を見た、すると……

「おい、トーマ……これって」
「ええ、察しのとおりですよ……キョーヤや英雄の言うとおりやめておくべきでした」
「隠す気も無く入られたら分かる所に配置するとはな……」

額をかいて俺は言う、コレはトーマの好奇心をくすぐった上でこうなるように仕向けたわけだ、大人なだけ有ってこういった所ではやはり俺たちより一枚上手だな。

「あえて言葉を使うならば『好奇心は猫を殺す』って訳です」
「全く持ってその意見には賛成だ」

ファイルの中は行政への癒着、横流しによる不正取引。
医師という立場を利用した悪事が纏め上げられた書類であった。
ページを見ると隅々まで書いている、つまり数え切れないほどそういった悪事を積み重ねていたのだ。
そして、それらの証拠を見たのだから父親を尊敬していたトーマは愕然とする事だろう。
他人の俺でさえ、あの中身には少し驚いているのだから……

「おぉ、トーマ!!、それをもう見つけるとは、私の教えを忠実にこなしている結果がもう出たな!!」

トーマの父親が入ってきてトーマが悪事のファイルを見つけた事が嬉しいのだろうか。
頬が上気して興奮している。

「父さん……あの中身は本当なんですか? ……本当に貴方はこんな事を?」

トーマはそんな父親とは対照的に俯いて言葉を言う。
ショックのせいか、言葉が途切れ途切れになっていた。

「真実だよ、トーマ、アレは全て私がやってきた事を記しているのさ、一つたりとも虚偽はない。 嬉しい限りだ、お前なら私が今まで築き上げてきた清濁あわせた全てをたくせる……」
「私はこんな事をする為に医学を学んだんじゃない!!、クリーンな父さんのような医者になりたかった」
「なればいいさ、但し上っ面だけで装うんだ、悪事というのは……思ったよりも楽しいぞ、トーマ」

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