4-3 江陵→←南陽→
『中! 黄! 太! 乙! 中! 黄! 太! 乙! 中! 黄! 太! 乙!』
「ほぁぁぁー! ほっ、ほぁ、ほぁぁぁぁ!」
◇◇◇◇
「緊急です」
「ぉ。何かあったか、幼平?」
空海は、突如現れたNINJA周泰に慌てることなく用件を尋ねる。
「はい。南陽が賊の襲撃を受けて再陥落しました」
「また?」「なっ!」「はわ!?」「あわわわ!」
その場にいた周瑜たち軍師を始め、護衛の黄蓋たち武官の間にも動揺が走る。
「どこから沸いた賊? 規模は?」
「賊は潁川郡長社で官軍を取り囲んでいた者達の一部、6万です。速報では――」
潁川郡南部で波才率いる黄巾賊8万が、朱儁率いる官軍2万を撃破する。黄巾賊は洛陽に近づくために北部に向かい、長社城にこもる皇甫嵩率いる官軍を包囲した。江陵の手で南陽から追い出された黄巾賊もここに合流。
一方、黄巾賊に破れた朱儁は、南西の南陽郡から袁家の孫策が連れてきた援軍と合流して北上。さらに東から陳留刺史の曹操が援軍として参戦し、長社城の官軍と連携して城を包囲していた賊を内外から攻撃、そして壊走させた。
その後、官軍は北側から圧力をかけ続け、討ち漏らしの黄巾賊12万の半数、約6万を南陽方面に押しやる。直後に曹操は東郡の平定を理由に撤退。
官軍は潁川と汝南、南陽の平定を行うことを決定。潁川を共同して平定の後、皇甫嵩と朱儁を別々の場所に派遣する方針であるようだ。
南陽方面に逃げ出した6万近い黄巾賊は再び徒党を組み宛城を攻撃。南陽軍も今回は多少抵抗したが、やはり一瞬で敗走して襄陽方面に逃亡。
戦闘の前後で南陽から脱出した兵士は5万弱、難民は既に20万を超えているとか。
「20万?」
「20万人を超えていると思われます」
空海は生真面目に答えた周泰に頷いて、顔を引きつらせている周瑜に尋ねる。
「公瑾、今回は何割が江陵に来ることを希望してると思う?」
「……。……おそらく、9割以上は」
「そうだよね」
春先の肌寒い空気の中、周瑜は滝のように汗を流している。
空海は軽く目をやるだけに留めて、孔明に視線を移す。
「よし、孔明。徳操や元直も使って良い。難民については任せる」
「はわわっ!?」
「急げ。放っておいたら、腹を空かせた難民が人を食べ始めるぞ」
「はわ!? ……きゅぅ」
真っ青になって目を回した孔明を、すぐ隣の鳳統が支える。
空海は黄蓋を呼び、孔明を指差す。
「公覆。孔明を……たたき起こして徳操の所へ連れて行ってあげて。道すがら、元直にも伝令をやって呼び出しとくように」
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