ハーメルン
魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)
初登校
姉さんの怒りを買い学校に行かなくてはならなくなったぼくは仕方なしに登校の準備をしていた。家には既に両親はおらず家政婦の沙世さんは買い物に出掛けている。えっ朝から買い物なんて何買いにいったって?残念、今は昼の一時だ。つまり大遅刻である。
◆
電車が一部を除いて使われなくなったこの世界ではキャビネットと呼ばれる、中央管理された二人乗りまたは四人乗りのリニア式小型車両が主流で初めて乗った時はワクワクしたものだ。そのキャビネットに乗り一校の最寄り駅で降り一校までの一本道を歩く。
「しかしこの制服コスプレみたいで恥ずかしいな」
前世では完璧にコスプレだったこの服装で街中を歩くというのは普通に恥ずかしい。
そんな感じで周りの視線を気にしながら歩き一校の門をくぐったところで気がつく。
「ぼくクラス分からないや」
とりあえずなんでも知っている兄に電話をかける。授業中かもしれないが何らかのアクションはあるだろう。
「ほら来た」
30秒もしない内にメールが届く。
『今は無理だ、10分後にこちらからかけ直す』
どうやら授業中だったらしい、とりあえず『了解』と返信をする。
「わー十分間暇だなー」
十分という時間は意外に長い。とりあえず座ろうと辺りを見渡すと今は授業中のはずなのにベンチに座って本を読んでいる生徒が。
「サボりかね?」
「うわわわ!?」
男子生徒は驚いてびくりと跳ねるとそのままベンチから転げ落ちる。
「ナイスリアクション」
「褒められても全く嬉しくないよ」
素晴らしいリアクションを見せてくれた彼は制服からして二科生、神経質そうな外見、体格は細身の中背で右目の下に黒子がある。
「あっ今気がついたけど君一年生だよね?先輩だったら謝りますけど」
「残念ながら一年生だ」
良かったよ先輩だったらちょっと気まずかった。
「でー君はなんでサボってたんだい?」
「君に言われたくないよ」
「ぼくはサボりじゃないよ今登校してきたんだ」
「余計質が悪いよ!」
そのとおりだった。他人をサボり呼ばわりできるような人間ではなかったのだぼくは。だって学校自体をサボり続けているからね!
「はぁ…君変わってるね」
彼はそう言うと落ちたままの本を拾い上げパタパタと叩くと語り始める。
「なんだか馬鹿らしくなってね、二科生なんて落ちこぼれのまま高校生活を過ごしていくのが。これでも昔は神童とか言われてたんだ。それが落ちこぼれたもんだから家にも居づらいしさ。もうボロボロだよ」
「へー思ってたより重たい理由でぼくちょっと引いてる」
「そっちが聞いてきたのに!?」
ちょっとした暇潰しのつもりで訊いてみたら結構重い理由だった。いやーびっくり。でも聞いちゃったら何とかしてあげたくなっちゃうよね。ぼくも前世で中学受験に失敗した時は家に居づらかったから気持ちは分かるし。ぼくの前世の母はそりゃもう教育熱心で金ないくせに色々習わせた。だから受験に失敗した時は大変だった。まぁ高校受験はご期待に応えることが出来たのだが。卒業出来ずに死んじゃったけどね!
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