ハーメルン
ランスIF 二人の英雄
第14話 王女襲来


-カスタムの町 酒場二階-

「でね、でね、近々二人を無理矢理隠居させようと思っているの。そうすれば、リアが正式な国の指導者になるから、リアと結婚すればリーザスはダーリンのものよ!」
「ふーん」
「あん、もうちょっと興味を持ってくれても良いのに……ダーリンったらいけずなんだから……あ、そこのもこもこちゃん、その立ち位置だと邪魔。もうちょっと向こうに行って」
「あ、はい、すいません……」

 ランスの側に立っているシィルを少し遠ざけながら、リアがランスにベッタリとくっついている。リーザス王として迎えるためなのかは判らないが、その話題の中心は現状のリーザスについて。そして今リアが口走ったのは、リーザス王とその妃の二人を無理矢理隠居させるというとんでもない計画であった。壁に寄りかかっていたルークは驚いた様な表情でマリスに問いかける。

「止めなくて良かったのか? こんな場所で話していい内容ではないと思うが?」
「お三方には色々と知られてしまっていますしね。今更です」

 リーザス誘拐事件に関しては、全てパリス学園のミンミン学園長が画策したという事で幕が閉じている。因みに、ミンミン学園長は既にこの世にいない。事件が明るみになった直後に謎の自殺を遂げていた。

「まあ、本当に聞かれたらまずいような事は言って無さそうだがな」
「ふふ、それはどうでしょうね」

 マリスがはぐらかしてくるが、リアはああ見えても実に優秀な人物だ。ランスだけならまだしも、ルークとシィルがいるこの場所では話す内容を選んでいるはずである。だが、この場でそれを追求し、マリスと問答を繰り広げる気もない。ルークは一度息を吐き、部屋の隅に控えているかなみへと視線を移す。

「しかし、随分と鍛えたな。見違えたぞ」
「わ、判りますか!?」
「判るさ。以前とは纏っている空気が違う。忠臣目指して頑張っているみたいだな」
「……ありがとうございます!」

 ルークのその言葉を噛みしめながら、深々と頭を下げてくるかなみ。と、それまでランスとの会話に一方的に夢中になっていたリアがこちらに視線を向けてくる。

「そうそう。最近のかなみは以前にも増して張り切っちゃっているんだから」
「わずか二、三ヶ月の間にレベルを四つも上げてくれました。隠密の仕事をこなしながらという事を考えれば、十分すぎる成果です。こちらとしても喜ばしい限りですね」
「リア様……マリス様……」

 リアとマリスにも褒められ、恥ずかしそうにしながらも若干誇らしげなかなみ。その態度に悪戯心が湧いたのか、ランスが茶々を入れてくる。

「がはは、へっぽこ忍者も少しは使えるようになったのか?」
「……ふん! 今ではランスさんより強いかもしれませんよ」
「ほう、言ったな? 貴様、今のレベルはいくつだ?」
「レベル18です! ランスさんは?」
「今から計ってやろう。貴様に英雄とへっぽこの違いを見せてやる」

 主の前だというのに挑発に乗ってしまうかなみ。マリスがため息をつき、ルークも目の前の光景に失笑する。

「精神の修行はまだまだこれから、と言ったところか?」
「お恥ずかしい限りです。リア様、止めますか?」
「ううん。ダーリンのレベルも知りたいし、止めなくて良いわ。私的には、ナイスかなみ、って感じだわ」

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