馬鹿と愚か者と弱い者奴の味方なマイナス
頭がボーッとしやがる…………てか、此処は何処だ?
確か俺は悪魔共の茶番劇に付き合い、ミッテルトちゃんの自由を得て上手く逃げられて…………ええっと。
「覚えてねぇ……」
駄目だ、何でかそこから思い出せん。
知らない高い天井を、これまた値が張りそうなベッドに横になってる状態で眺め、何でこの状況になったのか真剣に考えてみても一切思い出せず、何とか思い出してやろうと頑張ってみるも、今居るこの場所と他人の家の匂いのせいで落ち着けず上手く考える事が出来ない。
どうしたものかと、取り敢えず自分の身体が特に動かせないといった違和感も無いのでのそのそとベッドから降りると、すぐ横の扉がガチャリという音が聞こえ、視線を向けてみるとそこに居たのは金髪の女の子のミッテルトちゃん――。
「………」
「? だれ?」
じゃあ無く、見たこともない金髪の女の子だったので俺は思わず自然とその子に向かってどなた様なのかと尋ねてみる。
「……………。(じろじろ) 」
「え、なに?」
しかしこの金髪の子……全く喋らん処か、誰かも名乗らずにじろじろと俺を見てくるもんだから、更に居心地が悪くてしかたない。
「近くで見たら更に弱そうですわね」
「は?」
で、やっと口を開いたと思ったら、最早言われ慣れすぎていた言葉を頂戴しました。
…………。
「あー……うん。そんな第一声も慣れてる。他には死ねとか気持ち悪いから消えろとかも言われ慣れてるけどね。
それで何なのよキミは?」
最近普通に絡んでくれる相手の共通点である金髪。
それを漫画にでも出てきそうな……何だっけ、ドリル? いや縦ロールか? まあそんな髪型をしとるこの女の子に対し、恐らく同年代だろうと勝手に結論付けて誰なのかとフランクに聞いてみると、金髪縦ロールさんは『ふぅ』とため息を吐いていた。
「ライザー・フェニックスの妹のレイヴェル・フェニックスですわ。
以後………は無いかもしれませんがお見知り置きを」
「………」
見てくれからかったるそうに自己紹介をしてくれた……ええっと、レイヴェルと名乗るこの女の子は、何とライザーさんの妹さんらしいく、ジロジロと人間が珍しいのかジロジロと見てくる。
まだ人間に戻って無いんだけどね。
「ふーん? キミが俺を此処に運んだの? 何か記憶が飛んでて覚えてないんだけどさ」
「覚えて無いのですか? 私も直接見た訳では無いですが、例の胸糞悪いレーティングゲームが終わった後、アナタはサーゼクス様とお会いになり………………………」
「あ?」
お会いになり……何だよ?
そこで止めるとか何かしたのかよ? 気になるからはよはよ。
「サーゼクス様の奥方……の筈のグレイフィア様とアナタみたいなのが接吻をしまして…………らしいですわ」
「………………………はっ?」
自分で言ってて若干恥ずかしくでもなったのか、ちょっぴり頬を染めながら消えた記憶を補完してくれたレイヴェルさんに俺は多分人生で二番目くらいにアホな顔になってたと思う。
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