後日からの……もしかしたらの始まり
これだこれ。
これを伝えとかないと面倒だし、紅髪悪魔に伝言を頼もうと話をすると、彼女の顔は露骨に歪んでいた。
「や、やっぱりグレイフィアとミリキャスは……」
「うん、結構な目に遇ってたらしいよ? アンタは全く気付いてなかったらしいけどね。
そんな事はどうでも良いんで伝えといてね? まあ、そのせいでアンタがライザーさん以外の知らん純血の悪魔と結婚させられるかもしんないけど仕方ないよね」
うん、本当に仕方ないね。
しょうがない……あの二人の帰る気の無さっぷりと俺を気色悪がらないっぷりのせいで、帰す気が無くなったのも、もう仕方ないったら仕方ない。
「っ……ぐぅ……!」
「そ、そんな……せっかく部長は……」
「ん? おいおいお兄様や? まさかこんな程度で終わるとでも? あっはっはっー…………甘い甘い。水飴レベルで甘いぜ。
だから言ったんだよ、俺を利用目的でも仲間にしようとしたらロクな事にならないってさ。
お兄ちゃんは知ってたろ? それでも利用しようとしたろ? 自業自得だわ…………俺は悪くないね」
お先真っ暗? 知らんねそんなもんは。
「はぐれ悪魔を姉に持つ白髪さんだったり? 堕天使のハーフの黒髪さんだったりとかとかとかとか………良いじゃん。
アンタの実家の評判ががた落ちになって人間との契約件数が減ろうとも、それだけ無駄に個性がある面子を揃えてりゃあ、死ぬまで楽しく生きていけるじゃないか。
大丈夫…………失敗は成功のもとって言葉があるだろ? 悲観すんなって! まあ成功する為のチャンスを失ってるその様じゃどうなるかなんて知らんけど。
んじゃ、俺はこの辺で……『バイバイ』『墜落人生お疲れ様』」
顔を歪めて動けない連中に、俺は何時もの通りの笑顔を向けながら言ってやると、その間を通って校舎内に入って行く。
カタカタと……俺をぶっ殺したくてもぶっ殺せないと見て分かるくらいな殺意を押さえ込もうと震えてる様は実に面白かったな。
ついでにな話、教室に向かおうと階段を昇ってたら……この学園の生徒会長だったの眼鏡っ娘さんとその取り巻きと鉢合わせし、何かスゲェガン見されたが…………何だったんだろ。
「眼鏡っ娘……」
ダボダボのYシャツが随分似合いそうな人だったな―――――って、んな知らん人なんて今はどうでも良い。
さっき紅髪の人にミリキャスくんとグレイフィアさんは返さねぇって啖呵を切っといた件。
恐らく魔王さんは喜んで頷いてくるんだろうが、その上……ミリキャスくんの祖父母は絶対に何かしてくるだろう。
なんせ、純血悪魔の後継者を失ってしまう事になっちゃうし、恐らくは………ふっ。
「幸せ過ぎてスキルが消滅しちまう前にケリを着けないとな」
一度得たものを失うのは嫌だ。
人妻だろうが子供だろうが、俺を気持ち悪がらずに優しくしてくれる人達をテメー等から手放しといて、やっぱ返せってって言われても絶対に返さない。
どうにも最近は幸福続きで、幻実逃否の精度が変になってるし、もしかしたらこのままだとスキルが消えるのかもしれない。
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