ハーメルン
色々なIF集
異常な一誠その2

 結果から言わせて貰うと、目安箱システムは中々に好評だった。
 最初のリアス・グレモリーの件以外の依頼を頑張ってこなす。
 中々どうして遣り甲斐のある仕事で俺の生活は潤っていた。


「っしゃあ! 大リーグボール2号!!」

「なっ……!? ボールが消え……!?」

「ストライーク!! ゲームセット!!」


 本日の依頼……野球の練習試合の助っ人。
 ピッチャーを任されたので、昔努力して投げられる様になった大リーグボールを駆使したピッチングで見事完封してやれた。
 

「ありがとう兵藤くん! 人数が足りなくて練習試合に出られなかったと思ってたけど、キミのお陰で助かった!」

「おう、しかし今回は人数が足りなくてという理由があったから助っ人に参じたが……」

「分かってる。キミは生徒会長であって野球部員では無い。
試合に出るべきは俺達野球部だ……それは忘れてないよ」

「うむ……なら良い!」


 駒王学園には男子が少なく、野球部員も少ない。
 故にこういった助っ人系統の依頼も少なくない話であり、今もこうして他校との交流試合の助っ人を完了し、野球部員達にお礼を言われて実に気分よく生徒会室に戻ってきた。
 

「ありがとう……か。
ふふ……あの時あのまま腐ってたら言われなかっただろう言葉だな……フフフフ」


 兄貴と名乗る彼が現れたあの時から、兄貴を越えてやろうと努力を忘れずに生きて十数年。
 その努力はこうして生徒会長として忙しくやれているこの瞬間が実ったと実感出来る。
 だからこそ、これからも努力は止めない。
 別に他人からお礼を言われたいが為にやってるつもりは無いが、それでも俺は努力をしなければ生きられないという異常な感性を持っちまったからな…………っと。


「さて…………外で盗み聞きしてる輩よ。遠慮せずに入ってこい」


 そろそろ次なるお客を招き入れるとしなければ、な。


「!?」


 先程から生徒会長室の外から感じていた気配に向かって、扉越しに声を掛ける。
 フッ、忍者に憧れて気配察知はどうすれば良いのかと勉強して努力した甲斐があったな。
 近い距離ならば簡単に察知できる……なんてちょっと笑いながら扉の向こうに居るだろう誰かを見据えていると、観念でもしたのか気配の主は生徒会室の扉を開けて姿を見せてくれた。


「む……貴様は確か……」

「………」


 見えた姿を目にし、俺は眉をぴくりと動かす。
 というのも、扉の向こうから盗み聞きしていた気配の主とやらは、生徒会長の座を巡って俺と戦った眼鏡がトレードマークの上級生……つまり二年である俺より上の学年である……。


「支取三年か。どうした?」


 支取蒼那……その人だったからだ。


「いえ、ご活躍の程を耳にしますので、一度よくお話をしてみたいと思いまして。申し訳ございません……盗み聞きする様な真似をして」


 支取蒼那は生徒会長の椅子に座ったままの俺にそう頭を下げながら言う。


「ふっ、気にする必要は無い。別に隠す様なやましい真似をしてるつもりは無いからな!」

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