第十二話
しばらく走っていると大きな建物のある場所についた。他の受験生たちもいる。間に合ったか。
「良かった。間に合ったみたいだね」
「どうやらそのようだな」
「さて。ここビスカ森林公園が2次試験会場となる。俺の試験はこれで終わりだが、しばらく様子は見させてもらうぜ。俺の試験を突破した奴らがどこまでいけるか興味があるしな」
トンパさんはどうやら1次試験が終わった後も試験を見守るようだ。意外と面倒見のいい人なんだろうか?
「う、ぐ、いてて、あれ? 俺はなんでこんな……?」
あ、レオリオさんが目を覚ました! 良かった、このまま2次試験が始まったらどうしようかと思っていたよ。
「大丈夫ですかレオリオさん?」
「あ? あれ、あんたは……なんで俺はねーちゃんに背負われてるんだ!? い、いてて、か、顔が痛い?」
あ~。取り敢えずレオリオさんを降ろしてから事情を説明しよう。
「なるほど。この傷はそういうことか」
「すいませんでした……」
「あ~、気にすんなよ。あんたも俺を助けようとしてくれてたんだろ?」
「それはそうですが……」
「結果的に助けてもらってるんだ。ここまで連れて来てくれてるしな。最初の借りもあるし、こっちが礼を言わなきゃいけないくらいだ。ありがとうな」
……怪我をさせた私を気遣ってくれるなんて……レオリオさんは本当にいい人だな……。くぅ。こういう人にはぜひともハンターになってもらいたいものだ。
「わ、私の名前はアイシャです。あの、レオリオさん! 絶対ハンター試験合格しましょう!」
「お、おう。アイシャだな。お互い頑張ろうぜ」
「はい!」
いやあ、いい人に出会えたものだ。もしかしたら転生後初めての友達になってくれるかもしれない。ゴンもいい子だし。キルアは小生意気だけど。クラピカさんも仲間思いのいい人だし。ハンター試験は出会いの場かもしれない。受けてよかったハンター試験。
さて、さっきから猛獣のうなり声のような音があの建物から聞こえてくる。なんだこの音は? 2次試験は本日正午に始まるみたいだけど……もうすぐだな。
あ、扉が開いた……山の様な大男と髪型のおかしい露出狂の美女がいた……。もしかしてこの音はあの男の人のお腹の音か? ありえん。
2次試験は料理試験か。一応1人暮らしは長かったから、多少は料理ぐらい作れるけど。でも複雑な料理は無理。懐石とか高級レストランで出るような料理は全然分からない。
私に出来るのは極一般的な家庭料理が精々だ。
「オレのメニューは豚の丸焼き!! オレの大好物」
……複雑、ではないのかな? いやでも、豚の丸焼きって、作るだけなら簡単だけど、美味しく作るのって難しいんじゃないか?
「この森林公園に生息する豚なら種類は自由。それじゃ、2次試験スタート!!」
まあいいや。取り敢えず豚を捕まえてから考えよう。
豚や~い。どこですか~? あ、豚いた………豚、だよね? どうみても3m以上の大きさなんだけど……。
まいっか、豚に違いはあるまい。突進してきた豚に対して当たる直前に回避。通り過ぎようとしている豚の側面に一撃、豚昏倒。あっさり捕獲。所詮は豚よ。悔しかったら飛べる様になって出直して来い。
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