第十七話
あの後。そう、リィーナによるトンパさんに対する質問(と言う名の拷問)により、トンパさんは自身の念能力【箱庭の絶対者】について洗い浚い話し、その能力を解除する事を余儀なくされた。
……少し同情するが、オーラ消耗の原因が取り除かれたので正直私的には大助かりだ。これで一晩ぐっすり眠ったら体調も回復するだろう。
……ちなみにトンパさんは心神喪失した後、完全に意識を手放して気絶している。今はリィーナの手によって鋼鉄入りのワイヤーで縛られ床に転がされているところだ……妙に手馴れていたのは気のせいだと信じたい。
この後は道場本部に連行されて徹底的に扱かれるのだろう。……生きろ。
「お見苦しいところをお見せしてしまい申し訳ありません先生」
「いえ、まあ、その、気にしてませんよ?」
「……さすがに同情するわねそいつに」
「ある意味男の生き様を見た気分じゃ」
確かに。一度リィーナに矯正されていて、まだ新人潰しとやらに楽しみを見出すなんて筋金入りとしか思えない。ネテロの言うとおり、ある意味では尊敬できるわ。
「先生。先生はこのハンター試験が終わったら如何なさるのですか?」
ん? いきなりの質問だな。でも確かに気になるのは当然か。
「先生には是非とも道場を――!」
「あ、それは駄目ですよ?」
「な、何故ですか!? あれは先生の……」
リィーナ。私に風間流合気道場の総責任者にもう一度なってほしいのだろうが……。
「風間流はあなたに託しました。今後あの道場を引き継いでほしいのなら貴方がそれに相応しい人物を見つけ、育てなければならない」
「で、ですが」
「それも道場を率いる者の務めです。……貴方になら出来ると信じているからこそ後継を頼んだのですよ?」
「! 分かりました。このリィーナ、必ずや先生のご期待に応えてみせます!」
……私の言葉は全肯定なのは変わらんなぁ。この子、私が死ねと言ったら喜んで死にそうで心配だよ……。
「しばらくは世界を廻りたいと思います。リュウショウの時では出来なかった事もしたいですしね」
主に童貞卒業だがな! その為にも早くグリードアイランドを手に入れなきゃ。
「おいおい。その前にやらなきゃいけない事があるだろ?」
不敵に笑うネテロ。ああ、分かってるさ。
「ええ、忘れていませんよ。あなたは勝ち逃げ、とかほざきましたが……全体的に負け越してるのはこっちなんだ。勝負に拘っているのがお前だけと思うなよ?」
「そうこなくちゃな! ……3日後だ。3日後に決着を着けようぜ」
3日後? だがその日は最終試験の日じゃ?
「最終試験はどうするのですか?」
「信用の置けるハンターとビーンズに任せる。試験概要は出来ているからな。後は組み合わせやルールの細かい通達をすればいいだけだ」
「いや、私の試験は? まさか試験後に決闘をするわけではないのでしょう?」
「安心しろ。お前は合格にしといてやる。実力は十二分だしな。……ああ、負けてライセンス貰うのが嫌なら試験の後でもいいぜ?」
「……いいでしょう。その挑発に乗ってあげます。勝って気持ちよくハンターライセンスを頂くとしますよ」
そんな挑発に乗るのは馬鹿かもしれないが相手がネテロなら話は別だ。こいつから逃げたと思われるのは屈辱だ。
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