第十八話
だがそれも一瞬で打ち砕かれる。大滝から流れ落ちる水を一本の傘で受け止める様なものだった。
最後に行ったのは単純明快。
最早小細工は無駄。後は全霊のオーラを籠めてその身を守るだけだった。
そして……現在に至る。
「ふふ、ふ」
「ひゅー、そんなに、ひゅー、嬉しいか?」
急に笑い出したアイシャに問いかけるネテロ。
そんなに零の掌を耐えた事が嬉しかったのか?
アイシャの答えはそうであり、そうでなかった。
「ああ、う、嬉しいさ。……ようやく、ようやくお前の全てを、受け止められたのだから」
そう。アイシャが笑ったのは零の掌を耐えたから、だけではない。
ネテロの全てを受け止めきれたからであった。
「ネテロ」
「……なんだ」
「出し尽くしたか?」
「この姿見りゃ、わかんだろ?」
「渇きは、癒えたか?」
「ああ、感謝しか、ねぇよ」
「そうか……待たせて、悪かった」
「間に合ったんだ、文句は、ねえ、よ」
最早お互い意識も朦朧とし、相手の姿すら認識できていなかった。その中で、2人は同時に言葉を紡いだ。
『だが覚えてろ』
『次は私(オレ)が勝つ!』
そうして2人は同時に意識を手放した。
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