第三話
水がなみなみと注がれたコップに浮かんでいる木の葉が揺ら揺らとわずかに動いている。葉が動くのは確か……操作系だったよな?
操作系か……特質系が良かったのになぁ……。
こればかりは仕方ないか。資質の問題だ。努力でどうにかなるもんじゃないからな。
取り敢えず操作系と分かったんだ。ならそれに合った発を作るしかないな。
さて。どんな能力にするか?
かなり悩むが、実はこんなこともあろうかと! と思って用意していた物がある。瞑想をしだしてからの六年間で白紙の本に様々な系統の念能力を考えて書き溜めていたのだ!
題名は〈ブラックヒストリー〉!
文字通り黒歴史です。まさに僕の考えたかっこいい念能力とかがたくさん書かれています。これを誰かに見られたら俺は恥死する自信があるね。
何だよ放出系能力で邪王炎殺黒龍波って……ちなみに本は全て日本語で書いている。これなら簡単に読めはしないはず。
……ジャポンとかあるけど文字は日本語なんかな?
まあネタ技や厨二技も多々あるが、真面目に考えた能力もたくさんある。早速操作系のページを読んでみるか。
……ふむ。やっぱり操作系ならこれとこの能力かな。上手く出来るか分からないけど、制約を付けたら何とかなるかな? これが出来れば修行もはかどるしな。
さあいざ念能力を作ろう……と思ったが。……はて? 念能力ってどうやって作るんだ? こう、自分の考えた念の設定を強く念じればいいのか?
それとももっと練とかが強くなるまで作らない方がいいのか?
うーむ。悩むが、ようやくここまで来たんだ。おあずけ食らう感じで嫌だが能力はじっくり作っていこう。
少なくても木の葉がもっと動くようになってから作った方がいい気がする。練を強くしたらいいのかな? ……特訓するか。
練を強くするには確か、練を維持し続ければ良かったんだっけか? 取り敢えず、練!
だ、駄目だ、5分が限界だ。それ以上は無理! こんなに疲れるのこれ!? 挫けそうだ。今までのはそこまで疲れることじゃなかったしなぁ。炭鉱の仕事は生きるためには仕方ないし、纏は瞑想だけだったし。絶もそんな疲れることじゃなかった……。
くそ! ここで頑張らないと意味がない。目標を決めておこう。1ヶ月だ。1ヶ月だけ頑張る。期限を決めたらやる気も多少は出る。良し、やるぞ!
まあ今日は絶して休もう。
◆
つ、疲れた……この1ヶ月、仕事が終わったら練、仕事が終わったら練とその繰り返し。もう嫌だ。せめて仕事がなけりゃまだいいけど生活の為だし、まさか親方に、念の修行で忙しいから1ヶ月休みください、なんて言えないしな。
とにかく1ヶ月やりきったんだ。練も15分は持続するようになったしな。俺超頑張った。
さて水見式水見式っと。おおっ。前よりも葉が動いてる。揺ら揺らから、揺ら揺ら揺ら揺らぐらいになった!
……分からん。これでいいのか? 修行法間違ってたか? やはりうろ覚えの独学では限界がある。
……作るか。念能力。
頭の中に強く念能力の設定を描いて……。
それが発動するよう念じて発を試みる。
どうだ!?
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