第六話
どうしてこうなった?
俺の周りには果てしなく拡がるゴミの山、遠くを見渡すことは出来ないけどやっぱりゴミの山が拡がっていることは明白だ。お、落ち着け。まずは素数を数えるんだ。2・3・5・7・11……なんかデジャブを感じるが……ま、まぁそんなことはどうでもいい。まずは落ち着くんだ。目を閉じて大きく深呼吸。
……落ち着けるか!
……どうしてこうなった?
◆
あの時、北島 晶としての一生を終える瞬間、無念の想いを残したまま第三の能力【輪廻転生/ツヨクテニューゲーム】の発動を願った。そしたら気付けば眼を開けることは出来なかったが意識は目覚めた。そう、目覚めたのだ。
俺は確かに死んだはず。ならば意識がある今の状態は……成功したのだ。【輪廻転生/ツヨクテニューゲーム】が上手く発動したのだ!!
やった、これでかつる! 俺は人生最大の賭けに勝ったのだ!!! と、喜んでいたのも束の間だった……。
【輪廻転生/ツヨクテニューゲーム】の発動に成功したのはいい。実に喜ばしいことだ。しかし、誤算があった……。
母が、この新たな体を授けてくれた母が死んだ。それも俺を産む前に、だ。俺の意識が目覚めた瞬間に放出された膨大なオーラにより母の全身の精孔が開いてしまったのだろう。
全身から流れ出るオーラを留めなければやがてオーラが枯渇してしまう。オーラとは生命エネルギーそのもの。枯渇すれば全身疲労で気絶、下手すれば衰弱死する可能性もある。臨月を迎えた女性、しかも恐らくは武術など欠片も習っていない母に纏を会得することは難しく、母は衰弱死してしまった……。
不幸中の幸いと言っていいのか、既に産み月に入っていたため、俺自身は死した母の身体から生きて摘出された。
俺が原因で1人の女性を死なせてしまった……前世において人を殺めたことはなかった。それなのにこんな無抵抗の女性を殺めてしまう原因になるなんて……。
転生してすぐに後悔の念が押し寄せる……。
だが誤算はこれだけではなかった。
第二の誤算は、自身を覆うオーラが明らかに増大しているのだ。明らかに生前の最盛期よりも多い……なんぞこれ? 死ぬ前のオーラは精々が全盛期の三分の二が限界だったのに、その倍近くはあるぞおい……? まあそれはいい。嬉しい誤算って奴だな。
問題なのはそのオーラの質だ。
なんて禍々しいオーラ……まるでこの世のあらゆる不吉を孕んでいる様……!!
……いやそれは言いすぎか。少なくとも俺自身の意思が乗ってないのでそこまで邪悪じゃない。逆に言えば敵意や殺意を込めてないオーラでこの禍々しさ……!!
何でだ!? もしかして一度死んだことが関係しているのか? ……多分そうだろうな。もしかしたら母が死んだのはこのオーラの質も関係しているのかもしれない。一般人が浴びるには些か質が悪すぎる……。
そのあまりの禍々しさに医者も看護士も父親と思わしき男さえもが俺に近寄ろうとしません……。絶をすればいいのか、と思い絶をしようにもなかなか上手くいかない……。くそっ! いきなりオーラの質が変わってしまったせいか!?
とりあえずオーラが弱まったおかげか父親(?)が近寄ってくる。ちなみにまだ眼が開かないので全てオーラで察知しています。念の汎用性は異常です。どこぞのチャクラには劣るがな。
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