始動編第09話 悠久ニッポン
「地球よ、私は帰ってきた!」
「こちらでは……20年程でしたか。
この程度と言えるようになってしまいましたね」
魔法世界で色々あったが……まあ、今は無事に帰ってこれたことを喜ぶとしよう。ゼロも感慨深い……何か違う方向かもしれないが、笑みはでているし。
3つの組織の種もまいたし、ヘラスとの関係も作ることが出来た。
ついでに集めた技術やらも色々あったから、有意義ではあったはずだ。
ダイオラマ魔法球を作る技術も得たし、時間の加速は微妙な倍率だが自作にも成功した。
隣にいるゼロの体を、キメラ的技術で作る事にも成功した。今みたいに普通に話せるし、関節や目や口といった不自然になりやすい部分も自然で、小さい人と言っていい水準にできた。研究の甲斐があったと自信をもって言える。
材料の関係で私の半分くらいの身長で銀髪になり、それを知った変態が持ち込んだ服を着た結果、なんだか水銀燈風になったのは……まあ、誤差、なのか?
「そうだな。
月を経由すればすぐにでも帰れたし、話はしていたからそこまでは思わないが……考えてみれば随分と久しいんだな」
目が覚めた日に、私と第1世代の間に限るが通信可能だと判明した。時間差の都合で文字通信の方が便利という理由もあったが、掲示板的機能が問題無く機能する事が確認できたからな。
ついでに転移も間違いなく大丈夫だと確信が持てた。
そのせいで、いつでも帰れるからと、かえって帰らなくなっていたようだ。
「約束は、守るべきですよ。
センゴクジダイというものがいつの頃なのか知りませんが」
「始まっているとも言えるし、始まる前の争乱中とも言えるらしい。
今すぐとは言われていないから、少々押さえたい場所を巡りながら向かうさ」
「そうですか」
◇◆◇ ◇◆◇
「少々、と聞いていた気がしますが」
「予想外の話を聞いたせいもあるんだが……」
「私は邪魔ですか?」
「いや、仲間という意味ではありがたい存在だ」
うん、魔法世界から帰ってきてから、既に18年が経過してしまった。
そして、今いるのはフランス南部だ。
思えば、また色々と手を出してしまった気がするが……一度、整理しておくか。
最初に向かったのは、スペインだった。
目的は、アメリカ進出を少しでもまともにする事。その手段として、王族に近い貴族や船乗りを取り込んだ。
結果的には……残念ながら力及ばず、だったが。
ヨーロッパの一般的な常識が奴隷を認めていて、現地住民を偏見で見下している。奴隷商人が新しい土地の提督やらになる契約を結べるような現状を覆すのは無理があった。
オスマン帝国領……将来は東欧と呼ばれるはずの地域を観光しつつ次に向かったのは、中東。
目的は、未来の産油地を押さえる事。今度は現地で有望そうな、魔法との関係がありそうな部族に接触してみた。
今は割と広い範囲がティムール朝とかいうモンゴル帝国の系譜の王朝の支配下らしいが、どうも衰退しつつあるように見えたから、正しいと思ったんだが……
女性を軽視する風潮は、予想以上に厳しかった。
もっとも魔法での暴力を魔法で叩き潰したら、氷に極めて高い適性を持つ者は神の使徒であるとかなんとかで途端に待遇が良くなったのは笑うしかない。開発しておいた闇の魔法が、こんな事で役に立つとは思わなかった。
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