ハーメルン
美月転生。~お兄様からは逃げられない~
第十二話 進級と関係の変化



顔を赤らめてそっぽを向く深雪。

とりあえず抱き締めておいた。






放課後、旧校舎の教室で美月、薫、司波兄妹で集まることが二年の後半から増え始めていた。それぞれの思惑があってのことだが、今はそれが当たり前になっており、ちゃっかりそこに佐藤も加わっていた。


「なーんかあの二人仲良すぎないか?」

「……あーそうだな」


顔を赤くした深雪が美月に抱き締められている様子を見て、若干冷や汗を流しながら引いたようにそんなことを言う薫に達也は上の空な様子で適当な返事をした。恐らく、薫の話などほとんど頭に入っていないだろう。


「なんだお前、妹の一大事にそんなボケッとして。シスコンならシスコンらしく妹を守れよ」


薫は拗ねたようにそう言うと今度は佐藤に絡み始めた。薫は蔑ろにされると寂しくなってしまうらしい。


「お前もさ、ここ数ヵ月美月に何のアピールも出来てないんだぞ?いいのか、このまま美月が深雪にとられても」

「え?……うん、そうだね頑張るよ」

「なんだよ、お前もそんなんかよ、達也といい、お前といい、ボケーっとして、おじいちゃんですかー」


誰にも相手にされないと思ったのか薫はブツブツと文句を言いながら部屋の隅でふてくされ始めた。



「ねぇ達也くん。ちょっと提案があるんだけど、良いかな」

「なんだ?」




佐藤と達也はこうして一緒にいる機会も増え、男同士ということもあり、友人となるまでそう長い時間はかからなかった。
とはいえ、佐藤から達也へ相談ともなると、初めてのことである。
空き教室だけは沢山ある旧校舎だ、二人は場所を移すことにした。


「どうやら僕は桐生さんが好きになっちゃったみたいなんだけど……どうするべきかな?」



教室に入って席につくとすぐ、佐藤はそう告白した。

正直、達也には専門外だった。

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