第十六話 デートと忍術使い
そう、今日のお出掛けは頑張ったぼくへのご褒美!ぼくはもっと楽しいところを想像していたのに……。
到着してみれば出てくるのはむさ苦しい男ばかり!華の欠片もない寂れた寺!果てはなんか胡散臭い忍術使い(笑)のツルツルさん!
ぼく泣くよ!?泣いちゃうよ!?中学生にもなってぎゃん泣きしちゃうよ!?
「泣きたいのはこっちなんだけどね……」
落ち込んで本当に泣きそうな九重八雲先生(流石に可哀想なので)。なのに誰も慰めてはくれず、門人達は各々自らの勤行へと戻っていった。
扱いの酷さ……。
「ところで師匠、彼女は?」
「ところでって……はあ、うん、もうすぐ来るんじゃないかな?」
どうやらここに来たのは、達也がほぼ毎朝こなしているという稽古をするためというだけでなく、誰かを待つためでもあったらしい。
彼女、ということは女性……可愛いかな。ちょっとワクワクする。
「あっちょうど来たみたいだね」
達也同様、いや、それ以上の数の門人を蹴散らしながら堂々とした歩みでやってくる美少女。
誰もが想像する通りの大和撫子、どこまでも深い黒髪はさらりと風に揺れ、整った顔からは門人に襲いかかられようとも、余裕が消えることはない。
深雪と並ぶ美少女にしてぼくの親友、桐生薫。
どうやら待ち人とは薫のことだったらしい。
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