2#03
* * *
「ふー……ごちそうさまでしたっ! おいしかったよー」
「ごちそうさん」
「お粗末様でした! お口にあっていたようでなによりですっ!」
雑談を交えながら昼食をとり終える頃には、時刻は午後一時半を過ぎたあたりになっていた。因みに昼食はオムライスだった。
小町ちゃん料理上手だなぁ……わたしももっと料理も頑張ってみようかなぁ……なんて考えながら、小町ちゃんが皿洗いを終えるまで近くのソファで雑談をしながら待つことにする。
「そういえば、前も似たような噂が流れた時ありましたねー」
「あぁ、葉山と雪ノ下の噂の時か」
「そうですそうです。……あの時の雪ノ下先輩超怖かったです」
「お前が踏む必要のない地雷を踏みに行くからだ。お前が悪い」
「そうですけどー。あ、そういえば三浦先輩の依頼って結局解決したんですか?」
「……まぁ、納得はしてくれたみたいだが」
「へー」
せんぱいが「お前なぁ……」って顔してるけど気にしないことにしよう。
「まぁ、結局せんぱいがなんとかしたんだろうなー、ってのは、わかってましたけどー」
「いや、俺はなんもしてねぇよ」
「じゃあなんであんなにぼろぼろになってたんですかー?」
「……見てたのかよ」
「はい、ばっちりと」
「さいですか……」
わたしが一年の時のマラソン大会の際に、わたしは表彰台の上からせんぱいの姿を遠巻きに見ていた。足を引き摺り、ぼろぼろになりながらも消えていくような姿はやけに記憶に残っている。
「あんまり無茶しちゃだめですよ、せんぱい」
「わかってるよ」
「……わたしも、心配しますからね」
ぼそっと呟いた声は、食器を洗う水音にかき消えた。何か言ったか? とせんぱいに視線で聞かれたが、わたしは首を横に振った。
「お待たせしましたー!」
食器を洗い終えた小町ちゃんがぱたぱたと戻ってくる。それは会議の再開を示す合図なのだが、わたしの頭には相変わらず何も浮かんでいなかった。
* * *
「そういえば、さっき聞こえちゃったんだけど、葉山先輩と雪乃さん、なんかあったの?」
小町ちゃんが会議を再開して間もなく、そう尋ねてきた。
「あぁ、小町の入試のちょっと前あたりか。二人が付き合ってるって噂が流れたんだよ」
「確か、冬休み明けくらいじゃありませんでしたっけ?」
「ほーん? それでそれで? お兄ちゃんはどうしたの?」
「は? なんで俺なの?」
「いいからいいから!」
小町ちゃんがやたらと突っかかってるなぁ、意地の悪い顔で。
「俺は何もしてねぇよ。葉山が自力で終息させてた。」
「なーんだつまんないのー。それでその時、葉山先輩はなにをして解決したの?」
興味を失くした小町ちゃんは、脱線しかけた話を解決に繋がるヒントになると思ったのか、そう切り返す。
「確か、わたしと三浦先輩にありがとう、って言っただけでしたよねー?」
わたしがせんぱいのほうを向いて同意を求めると、せんぱいも首を縦に振って肯定する。
「え? それだけですか?」
「葉山にとって二人が特別、って方向でいつのまにか噂は消えてたな。あれは人気者の葉山だからできた芸当だな」
「せんぱいには到底無理な方法ですね」
「真似したくもねぇよ……。っつーか、いちいち俺を引き合いに出すのやめてくんない?」
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