2.愉快で楽しげな仲間たち
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TCGといっても、その種類は膨大だ。
最近は新作TCGラッシュというか、聞いたこともないようなTCGが濫発して、割りとどれもそこそこ名前を聞いて、残るかどうかはそこからだ。
まぁ今回はそれを横に追いやって、そんなTCG群雄割拠の時代にあっても王道というか、定番というか、有名TCGは有名TCGなわけで。
<遊戯王>、元は原作漫画において生まれたゲームであるわけだが、その原作漫画が二十周年、新作映画なんてものも発表された。最近は過去の有名作の再発掘なんてものが流行っているが、これもその流れの一つだったりする。
問題は、<遊戯王>というコンテンツが、二十年前の遺物ではなく、現在進行形でTCGの王者として君臨している、という事だが。
子供の頃からずっと遊戯王をしてきた人間としては意外の一言、続くものは続くものだ。まぁそれも、TCGといえば<遊戯王>という図式が確立されているからこそだろう。
――だからこそ、こうして新たに新規プレイヤーが生まれることもあるわけだ。
「そういえば、初心者向けの商品を教える前にまず聞いておきたいんだが、予算は幾らだ?」
「洋服代を崩せば一万円くらい?」
「最初の予算としては十分だな、ぶっちゃけ、最初にデッキを組むだけなら三千円あれば十分だ」
消費税税別。
「あれ? その程度なの?」
カードは紙切れ、そんなものに金をかけるなんて、と思うかもしれないが、TCGは十分安い趣味だ。やろうと思えば、千円程度でたしなむ程度なら可能だろう。
勿論、二年、三年続けて、というか本格的に始めれば金はかかるが、準備にかかるお金は――いわゆるエクストラデッキを作る費用はせいぜい二、三万程度。
本格的な趣味と比べれば――例えばサイクリング何かと比べれば、非常に安い。真面目にやろうとすればアレも下手な原付きより高いからな。
「全部絶対に用意したいというわけでもなければ――そもそも、カードは単品で手に入れるものだ。トレードにしろ、シングル買いにしろ、一度にかける費用なんて高くても五千は越えんわ」
「安くしようと思えば、もっと安くできると?」
そういうことだな、うんと軽く頷く。
ほぇーと遊河峰は感心した様子、趣味ってのは要するに金を溝に捨てること、それはTCGだろうと別の趣味だろうと変わらんさ。
「とはいえ、高いもので一枚数千円もするカードだってある、まぁ、段階的にカードを買うのが普通だから、今は気にする必要ないけどな」
「そっか……」
ぶつぶつと、何やら遊河峰は思案顔、聞こえてくるのは食事代がどうのこうの。
……割と典型的な<デュエル脳>というか、そこまで嵌るつもりか、お前は。
この食事代(大体五百円)でパックが二つから三つ買えるんだよなぁ、とか考え始めると末期である。楽しんでいるようで大変よろしいが。
とはいえ、話を戻そう、今は最初に何を買うか、という話だ。
<遊戯王>なら初心者向けといえばまずこれ、三千円というのも、その値段だ。
「初期投資は必要だが、本格的に始めるとなればまずは三千円、初心者でも<ストラクチャー>を三つ買えばプレイが出来る、とは<遊戯王>の標語だからな」
<ストラクチャー>、通りのいい言い方をすれば<構築済みデッキ>となるだろうか。最初から四十枚の、デッキとして完成された商品。大体一つ千円程度。
どのTCGを見ても、まずは隗より始めよならぬ、まずは構築済みより始めよだ。その方が簡単なのだ。
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