第八話。なのはさん(28)の片鱗
私の名前は高町 なのは。
高町家の次女で、私立聖祥大附属に通う小学校3年です。
変態さんをサクッとやっつけたものの、それで終わりとはいかなかったの巻。私のシュークリームは今日はお預けのようです……。
ジュエルシードの探索をしているのは二組。
なら必然的に、この封印したジュエルシードをどっちの物にするのか決めなくてはいけない。そして、それが話し合いで解決しないということは、此処にいる全員がわかっていることだ。
……流石に私としてもユーノ君の手前、何度も譲るわけにはいかないしね。
「さぁてと。地球のゴミも綺麗になったことだし、今日は解散しよっか♪」
「なのはさん。よくこの空気でそんなことを言えますね……」
一応、にこやかにそうは言ってみたものの、ユーノ君からじと目をプレゼントされる私。
加えるなら、フェイトちゃんの隣にいるアルフさんからも敵愾心の強い目を向けられてます。しかも、更には……。
「なのはぁ。もう、帰っちゃうの……?」
フェイトちゃんが捨てられた子犬みたいな顔でこっちを見てくるっていう。
ああ、もうそんな目で見ないで! そんな捨てられた段ボールの中の子犬みたい目で私を見ないで! そんなことされると、凄く帰りにくいじゃない!
というか、このままジュエルシードを持って帰ったら私って完全に悪者だよね……。
「ううんっ! まだ帰らないよ!」
「……本当?」
上目遣いでこてんと首を傾げ、此方を窺うような表情を見せるフェイトちゃん。だが、その不安げで小さな声には僅かばかりの期待が込められていた。それを好機と見た私は、大きく頷くと言葉を重ねる。
ただ、決して表には出さないけど、内心では“何か子犬に懐かれたみたいー”なんて思っていたりする。
「うんっ! 本当の真実の実際のマジだよ!」
「そっかぁ、良かった……」
私がそう言うと、フェイトちゃんは安堵とも言える笑みを浮かべた。その顔を見て、私は内心でほっと一息吐く。
良かった。……流石に幼い親友が目の前で泣く姿は見たくないもんね。それにアルフさんの前でフェイトちゃんを泣かせたりなんかしたら、絶対に文句言われるし……。あっそう言えば、私ってアルフさんと初対面なんだっけ。ちゃんと自己紹介をした方が良い、よね?
「フェイトちゃん、もしかしてその人が前に言ってたアルフさん?」
「うん。私の使い魔で、私の大事な家族……」
「やっぱり! 私は高町 なのはです、よろしくねアルフさん! あと犬形態の時にモフモフさせて貰ってもいいですか?」
「ふんっ。あたしは敵とよろしくする趣味はないね! 大体、あたしは犬じゃなくて狼だよ!」
ありゃりゃ、何か私凄く嫌われてる。
ってそれも当然か。この前フェイトちゃんを待ちぼうけさせちゃってるんだし……アルフさんは使い魔だからフェイトちゃん至上主義だもんね。
それにしても、何時からアルフさんは犬から狼に出世したんだろう? ん~。確か子犬モードがあったから、犬なんだとばかり思っていたんだけど……。
「でもこの前、フェイトちゃんが大型犬だって言ってましたよ?」
「フェ、フェイト!?」
「えっ? でもアルフは犬、だよね?」
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